研究課題/領域番号 |
22KF0152
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補助金の研究課題番号 |
22F22330 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長谷部 徳子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (60272944)
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研究分担者 |
MARSDEN RUBY 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2024年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 第四紀火山 / U・Th/He年代測定 / 北海道 |
研究開始時の研究の概要 |
地質学的に若い(<100万年)火山の年代測定法の開発およびその手法により日本の火山の年代決定を行う。手法の開発においては国際的に認められている標準試料を利用し,実験室において試料調整を行い分析を行うとともに,そのデータを適切に解釈するために対象鉱物及び分析元素の挙動に関して数値モデルを構築し,コンピュータプログラミングを行う。また実際の年代決定対象火山として,現在も活動的であり,かつ大規模な噴火があったことがわかっている火山について試料採集地点の吟味,調査,採取をおこなったうえで,実験室において分析を行い,開発した手法を利用して年代決定を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では地質学的に若い(<100万年)火山の年代測定法の開発,およびその手法による日本の火山の年代決定を行うことを目的としている。今年度は夏に屈斜路火山の調査を行った。調査の際には電力中央研究所および茨城大学と連携し,火山学者の案内により,屈斜路カルデラの周辺の露頭の記載に基づき年代測定対象とする火山岩の採取を行った。また試料からジルコン及びアパタイトの分離を開始し,これは現在も続けている。また共同研究の議論のために茨城大学を訪問し,その際には火山岩研究を志す学生向けに年代測定法についてのセミナー講演を行った。 また,昨年度採取した尻別火山および洞爺テフラの試料は鉱物分離を終了し,一部試料をオーストラリアの共同研究者の元に届け,Heの分析を開始した。 鉱物試料のU, Thの3次元濃度測定に関しては,ミクロトームを利用した試料のスライス法の吟味を継続した。ダイヤモンドナイフを入手したものの,大変高額なものであるため,ナイフを損傷しないために,事前の使用実績などの調査を行った。中国の研究者らによる報告例があったため,これら研究者との情報交換を開始し,現在も継続している。またU, Thの測定データを得た後,それらから放出されたアルファ粒子(He原子核)がどのように鉱物内に留まるか,どのような割合が鉱物外に放出されるかの計算法についても吟味し,プログラムを完成させた。 成果報告としては,日本地球惑星科学連合での口頭発表,国際年代学会議における4つの発表,日本フィッショントラック研究会での口頭発表が挙げられる。国際年代学会議の際は道中オーストリアの共同研究者を訪問し,取り組んでいる鉱物中のU,Thの精密3次元測定について議論を行った。 研究実績とは一線を画すが,JSPSのアレンジによる高校生向けの出前講義にも取り組み,日本の科学教育の現場についても学んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジルコンを利用したU-Th法およびU・Th/He法の両方を一緒に測定するDoble Dating 法の精密化については,すでにHeの放出量を見積もるプログラムを完成させた。実際の測定法についても,試料の事前準備,特に鉱物スライスの方法や,濃度測定の際のTOF-SIMSの活用に関する吟味を進めている。 また予定していた屈斜路火山の試料採集は予定通り実施し,鉱物分離も進んでいる。計画していた立山火山の調査は,電力中央研究所の共同研究者と相談し予定を一度は立てたものの学会参加の都合上行く機会を逃したが,代わりに尻別火山および洞爺テフラの研究が進んでおり,応用事例としては問題なく進められているため,概ね順調に進展すると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ミクロトームを活用する鉱物スライス法について吟味を行なっているところであるが,これを実行に移し試料を準備する。また並行して,スライス試料によるU, Th3次元濃度測定法を吟味する。現在のところ,スライス試料のTOF-SIMSによる濃度マップ作成(定性的だが詳細なマップ)および,LA-ICPMSによる濃度マップ作成(定量化できるが解像度はTOF-SIMSに劣る可能性)を視野に入れており,これらの手法の長所・短所を考慮し,3次元濃度測定のプロトコルの提案をする。その上で,共同研究者によりHe測定が済んだ鉱物試料のU, Th3次元測定を実施するとともに,作成したプログラムが適切にHeの挙動を理解し見積もることができているかの評価を行い,さらにプログラムの改良をはかる。
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