研究課題/領域番号 |
22KF0159
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補助金の研究課題番号 |
22F22061 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
劉 小晰 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (10372509)
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研究分担者 |
XIA JING 信州大学, 学術研究院工学系, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 量子ビット / 量子論理ゲート / トポロジカルスピンテクスチャ / 磁気スキルミオン |
研究開始時の研究の概要 |
2D,3Dトポロジカルスピンテクスチャは波動性、粒子性同時に持つ。本研究では、2Dのskyrmion, antiskyrmion, skyrmionium, bimeron, and bimeronium 及び 3D の hopfions, torons, bobbers, skyrmion tubes, and bimeron tubesを用いて、ユニバーサル量子ビットに関する理論検討を行うと共に、ウェハーベースの量子計算システムの形成を提案する。
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研究実績の概要 |
キラル磁性薄膜中のトポロジカルスピンテクスチャのサイズは数ナノメートルと極めて小さくかつ安定性が高く、電流・電圧で制御可能である。更に、フォトン(光量子)・フォノン(音量子)・マグノンなど量子との相互作用によって、量子コンピューティングへの応用が注目されている。本研究は、ナノスケールのトポロジカルスピンテクスチャとGHz帯域のマグノン及びGHz帯域の表面弾性波、薄膜体積弾性波との相互作用に着目し、トポロジカルスピンテクスチャのトポロジカル数やヘリシティーの制御によって、トポロジカルスピンテクスチャに基づく量子ビットの創製に関する研究である。 今年度では、磁性円板中のmeronと呼ばれるトポロジカルソリトンに着目し、磁性円板のサイズが数ナノになると、円板中心のスピンの向きが上向き、下向きが量子ビットの0、1のように振舞ことを証明した。更に、ナノスケールの磁性円板を磁界、電流の制御により、具体的な量子ゲートを提案した。これらの結果はCommunications materialsに投稿し、2022年11月10日に掲載された。更に、磁気スキルミオンの中のヘリシティー(ねじれ)に着目し、フラストレーション磁性体の中の磁気スキルミオン串のトポロジカルヘリシティ波の非線形的な振る舞いを検討した。磁気スキルミオンのヘリシティー(ねじれ)特性を用いた量子ビットへの応用に展開している。初期的な結果をPhyscial Review Bに投稿し、2022年8月10日に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的はナノスケールのトポロジカルスピンテクスチャによる量子ビットの形成である。ナノスケールの磁性体の中のトポロジカルスピンテクスチャの量子的な振る舞いとその制御、量子論理素子の基盤構築は本研究の特徴である。本年度では、OOMMFと呼ばれるアメリカNIST開発したマイクロマグネティックスシミュレーターを用いて、シミュレーション・解析が順調に行っている。OOMMFはCPUに基づくシミュレーターである。そのため、計算速度はCPUのコアの数に依存している。トポロジカルスピンテクスチャのような数の多く有限要素必要な場合は、計算が数週間かかると速度が遅い。来年度では、GPU加速したマイクロマグネティックスシミュレーターMuMax3を導入予定である。MuMax3及び最新のGPUの導入による、計算速度が約100倍以上に短縮できる。尚、本年度の結果に基づいた論文を2本整理投稿中である。 実験的には、フォトン(光量子)・フォノン(音量子)・マグノンなど量子によるトポロジカルスピンテクスチャのトポロジカル数やヘリシティーの制御に関する実験も計画通り展開している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度では、理論シミュレーションと実験を同時に進行させ、ナノスケールのトポロジカルスピンテクスチャのGHz帯域のマグノンの相互作用に基づき、そのトポロジカル数やヘリシティーの制御によって、次世代量子ビットとニューラル・コンピューティングへの応用を目指す。具体的には、①フォトン(光量子)、GHz帯域マグノンによる超高速トポロジカルスピンテクスチャの相変換を理論的・実験的に調査に基づき、信頼性の高い駆動方法を確立する。②単結晶ガーネット(YIG)など超高速特性を持つ(高Q値を持つ)高品質な薄膜にキラル特性を導入し、制御可能なトポロジカルスピンテクスチャを実現する;③トポロジカルスピンテクスチャを用いた量子ビット設計と検証;④次世代ディープラーニングためニューラルネットワークへの応用、特にトポロジカルスピンテクスチャ・セル・オートマトンの探索と検証。以上のように推進していく。
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