研究課題/領域番号 |
22KF0160
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補助金の研究課題番号 |
22F22339 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分36010:無機物質および無機材料化学関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
堂免 一成 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 特別特任教授 (10155624)
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研究分担者 |
GU CHEN 信州大学, 先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2024年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2023年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 水分解 / 水素生成 / Zスキーム / 粉末 / 半導体 / 固定化 / 導電材 |
研究開始時の研究の概要 |
可視光応答型非酸化物光触媒を炭素系導電材と組み合わせる手法を検討し,大気圧下で高効率かつ安定に水を分解する二段階励起水分解用光触媒シートの開発に取り組む.申請者は酸化物光触媒を炭素材に固定化することで、大気圧下で高効率に水を分解する光触媒シートを開発したが、非酸化物光触媒を用いると性能が大幅に低下する問題を抱えている.候補者は導電性や安定性に優れる炭素系材料を利用した電子デバイスや光化学反応系の研究開発に長けている.両者の専門的知見を融合させ,炭素系導電材を利用した非酸化物材料からなる光触媒シートの高性能化に重要な要因を解明し,高効率な常圧太陽光水分解を実現することを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題では、長波長応答性非酸化物光触媒を逆反応に不活性な炭素系導電材と複合化する手法や、将来的な大規模展開を見据えて真空プロセスを用いずにシート状に固定化・加工する手法の検討を通じて、大気圧下で高効率かつ安定に水を分解するZスキーム型水分解用光触媒系の開発に取り組んでいる。2023年度は、水素生成光触媒としてSm2Ti2O5S2、酸素生成光触媒としてBiVO4、導電材として各種炭素材料を用いるZスキーム系を様々な条件下で構築し、懸濁させた状態及び基材上に固定した状態での水分解活性の向上に努めた。 炭素系導電材として酸化グラフェンやカーボンナノチューブを複合化させることで、Zスキーム型水分解反応が再現性良く進行した。さらに、Zスキーム系を基材上に固定しても懸濁時と同等の活性を発揮させることが可能になった。特に、炭素系導電材を複合化する際に、分散液を濾過するだけでも良好な水分解活性が得られることや、適切な表面修飾により圧力上昇時の逆反応の問題が解決され、常圧付近でも持続的に水を分解可能なZスキーム光触媒シートを作製できることを見出した。一連の研究成果をもとに特許出願と学会発表を行った。 濾過法は高コストな真空プロセスや光触媒の劣化につながる焼成プロセスが不要である。そのため、様々な光触媒材料への応用が可能であり、将来的により長波長の可視光を利用できる非酸化物光触媒材料からなる光触媒シートの開発につながる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炭素系導電材を複合化させることで再現性良くZスキーム型水分解反応を駆動させることが可能になった。また、Zスキーム系を基材上に固定化しても懸濁時と同等の活性を発揮させることが可能になった。これらの進展は当初の期待通りであり、次年度の検討に向けた課題も設定できた。したがって、計画通り順調に進んでいると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度までの検討により、可視光応答性の水素生成用酸硫化物光触媒であるSm2Ti2O5S2と酸素生成用酸化物光触媒であるBiVO4、炭素系導電材であるカーボンナノチューブの分散液を濾過することで、可視光水分解反応に活性なZスキーム水分解用光触媒シートを簡便に作製することが可能になった。しかし、光触媒シートの太陽光水素エネルギー変換効率は0.2%程度にとどまっており、吸収端波長の短いBiVO4の使用が活性が低くなる要因の1つとして推定される。 そこで令和6年度は、酸素生成光触媒として長波長の可視光に応答可能で酸素生成反応活性の高い酸窒化物系光触媒を酸素生成光触媒として応用して水分解活性の向上を図る。具体的にはGaN:ZnO、BaTaO2N、SrTaO2N、Ta3N5等の酸窒化物系材料を用いる。Zスキーム型水分解反応の高効率化に向けて、①酸素生成光触媒から炭素系導電材への電子移動過程の高効率化、②Sm2Ti2O5S2から炭素系導電材への逆電子移動過程の抑制、③炭素系導電材の高分散化による使用料低減と光遮蔽の抑制の観点から検討を進める。
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