研究課題/領域番号 |
22KF0170
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補助金の研究課題番号 |
21F21361 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分28010:ナノ構造化学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
池田 勝佳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50321899)
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研究分担者 |
BAO HAOMING 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2022年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2021年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | コアシェル型ナノ粒子 / ガス検出 / イオン検出 / 表面増強ラマン散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、酸化物表面へのガス分子の特異吸着を利用して、環境中の微量ガス分子の選択的高感度検出を行う技術の確立を目指す。各種の金属コア酸化物シェル構造を作製して表面増強ラマン散乱計測のプラットフォームとし、検出可能な振動領域をテラヘルツ領域まで拡張することで、酸化物表面と分子間の弱い相互作用を直接検出する。これにより、従来よりも選択性と感度に優れた微量ガス分子検出の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、気相ガス分子または液相イオン種と酸化物表面との相互作用、すなわち特異吸着(弱い相互作用)や表面反応(強い相互作用)を利用し、高感度な表面増強ラマン散乱分光測定と組み合わせることで、環境中の有害な微量化学種の選択的高感度検出を行う技術の確立を目指している。また、近年のラマン測定における低振動数領域の測定技術の進歩を活用し、特に弱い相互作用に伴う低エネルギー振動モードの直接観察から、上記センサーシステムに関わる表面物理の基礎的理解を深めることも視野に入れて実験を行ってきた。 本年度は、CuOシェルAuコアのナノ粒子を使った表面増強ラマン計測による液相中の微量硫化物イオン検出について、昨年度に引き続いて詳細な検討を行い、その温度依存性、イオン濃度依存性などを系統的に調べ、高感度かつイオン選択的な検出を広い濃度レンジで実現することに成功した。さらに、実際のデバイス化に向けて重要な、模擬環境中でのイオン検出にも取り組み、これら成果を論文として発表した。次に、気相中のエタノールガス検出を対象に、SnO2シェルAuコアのナノ粒子を用いた実験も実施し、酸化物半導体系のガスセンサーにおいて、従来考えられていた検出機構とは異なる動作原理が関与している可能性を見出した。これにより、ガスセンサー設計の指針が変わり、センサー性能の大幅な向上が期待される。なお、本成果も年度内に論文投稿を行っており、業績としては次年度扱いになるが、報告書執筆の現段階で受理・掲載済となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において技術的な核となる金属コア酸化物シェル構造を有するナノ粒子について、様々な酸化物シェルのライブラリをあらかじめ準備する必要があり、また、そのシェル厚さは、高い検出感度を得るために十分薄くする必要があった。現在までにこれらの諸条件を考慮しながら、直径50~100nm程度の金ナノ粒子にCuO、TiO2、CeO2、SnO2、ZnO等の各種酸化物シェルを数nm厚さで作成する条件を確立した。得られた試料については、SEMによる形状観察、EDSマッピング、TEMによるシェル厚とアモルファス化の確認等を行い、所望のコアシェル型ナノ粒子が作成できたことを確認した。 得られたナノ粒子を用いた表面増強ラマン散乱測定について、液相中の微量硫化物イオンを検出対象とし、CuOからCuSへの置換反応を使った選択的検出の実証を行い、酸化物シェルの硫化反応に伴うCuS振動の増加から低濃度の硫化物イオンの検出と定量が行えること、測定基板の加熱再生による再利用を確認した。また、高濃度時には内部の金コアも硫化物化してスペクトル変化することを見出し、幅広いダイナミックレンジを有するセンサーとしての可能性を見出した。 次に、気相中のエタノールガスの検出について、SnO2シェルの導電性変化から検出するシステムについて分光計測を行い、従来から提唱されていた導電性変化の機構が間違っている可能性を示唆する結果を得た。これは基礎科学的な観点から興味深い成果であるだけでなく、同種のセンサーデバイスの開発において大きな影響を与える可能性を持った成果であるといえる。 以上のように、研究計画に従って順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、表面での弱い相互作用に着目して、テラヘルツ帯に該当する低エネルギー振動領域の計測に重点的に取り組む。これまでに行ってきた液相系と気相系それぞれのセンサーシステムについて、低エネルギー領域に注目した解析を行い、表面物理の基礎的理解に資する情報を得ることを目指す。特に、当該エネルギー領域の分光をすることで情報が得られる表面吸着水の状態に着目して、デバイスの性能に対して表面吸着水が与える影響を分光学的に明らかにすることを目指す。また、これまで用いてきた酸化物シェルAuコアのナノ粒子について、TiO2やZnOのシェルに対しては光触媒能の発現も期待できることから、紫外光照射下での分光計測にも取り組む予定である。
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