研究課題/領域番号 |
22KF0190
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補助金の研究課題番号 |
22F21323 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
榎戸 輝揚 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20748123)
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研究分担者 |
DINIZ GABRIEL 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | Gamma-ray glow / Thunderstorm / Lightning initiation / Electron multiplication / Electron range / Monte Carlo simulation / Atmosphere electricity / Cosmic ray |
研究開始時の研究の概要 |
雷雲電場で加速された相対論的な電子からのガンマ放射線を地上で観測し、理論シミュレーションと比較することで、地球の大気中で発生する「高エネルギー大気物理学」という新分野を創出する。受入研究室では、日本海沿岸の冬季雷雲に着目し、シチズンサイエンスの枠組みも活用して、金沢市を中心に放射線の多地点ネットワークを構築し、実際にこのようなガンマ線イベントの測定に成功している。本研究では、この放射線測定ネットワークに参加して観測を実施するとともに、雷雲や雷放電の電場による電子加速や、それに伴うガンマ線、中性子の発生など大気内で発生する高エネルギー現象の理論モデルやモンテカルロ・シミュレーションを構築する。
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研究実績の概要 |
外国人特別研究員の Gabriel Sousa Diniz 氏は、すでに発表された2つの論文をもとに、高エネルギー大気物理の分野で最も重要な会議のひとつである国際大気電気会議(ICAE 2022)に参加した。この会議で、彼は関連する議論を他の研究者と深め、さらなるコラボレーションの機会を得ている。そして、Diniz 氏はこの1年間で、2本の筆頭著者としての学術論文を仕上げた (Diniz, et al., "Atmospheric Electron Spatial Range Extended by Thundercloud Electric Field Below the Relativistic Runaway Electron Avalanche Threshold", JGR Atmosphere 2022; Diniz et al., "Ambient conditions of winter thunderstorms in Japan to reproduce observed gamma-ray glow energy spectra", JGR Atmosphere, 2023)。さらにもう一つの論文を、Geophysical Research Letters (GRL)に投稿するために現在執筆中である。また、理化学研究所のスーパーコンピュータシステム「HOKUSAI Big wave」なども活用しました。その他に、Geophysical Research Letters誌に投稿された同僚の研究に対して重要な貢献を行い、現在この論文はレフェリーの査読結果を待っているところです。最後に、Diniz 氏はEuropean Physics Letters (EPL)から重要な貢献をしたレフリーとして表彰されました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Diniz氏は外国人特別研究員としての1年目で筆頭著者として、雷雲からのガンマ線とその源である電子加速に関する2本の論文を出版し、順調に科学成果を発表している。さらに、現在Geophysical Research Letters (GRL)に投稿されている論文を含め、研究室の他の研究活動や論文に共同研究者として参加し、理論的考察などで重要な貢献を行ってきた。また国際大気電気会議(ICAE 2022)に参加し、今後の研究に大切な議論を行い、今後の研究の発展に大切なアイデアを得ている。これらの成果は特筆に値する。また、後続論文もGRL誌に投稿するべく準備しており、高い学術的生産性を示している。また、彼は理化学研究所でも京都大学でも、研究仲間と強調し、文化の違いにもかかわらず、良好な職場環境を生み出すのに貢献してきた。特に、研究の質も急速に向上しており、雷雲からのガンマ線の実験プロジェクトに有用な理論的な考察を行い、高エネルギー大気物理学(HEAP)研究コミュニティ全体にポジティブな影響を与えている。最後に、彼は将来の研究のための独立した計画を、わかりやすい方法論で提示している。したがって、JSPS外国人特別研究員の期間内で、今後もさらなる研究能力の工場と学術成果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
Sousa Diniz氏は、2020年から雷雲からのガンマ線放射とその源である電子加速の理論的な枠組みを構築するための理論論文シリーズを執筆しています。JSPSの期間を通してこのシリーズ執筆を継続する予定です。彼はすでに、地上での放射線測定で検出できた雷雲からのガンマ線を説明するために必要な宇宙線フラックスの理論考察の議論を進めています。この原稿は、今年度中に3本目の筆頭著者の論文として出版される予定です。また、雷雲が宇宙線ミューオン成分にどのような影響を与えるかを調べ、雷雲環境下で宇宙線空気シャワーのミューオン成分が電子に崩壊する影響を考慮するアイデアもすでに持っています。これまでの高エネルギー大気物理の議論では電子フラックスのみを考えていましたが、ミューオンの影響を評価することには意味があります。今後は、これらの理論的な考察を進めていく予定です。
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