研究課題/領域番号 |
22KF0195
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補助金の研究課題番号 |
22F21750 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤田 晃司 京都大学, 工学研究科, 教授 (50314240)
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研究分担者 |
WANG HAOCONG 京都大学, 工学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 強誘電体 |
研究開始時の研究の概要 |
膨大なペロブスカイト化合物の中で,反転中心のない構造をもつ物質群(強誘電体や圧電体)は5%に満たず,応用分野も限定的であった.この状況を一変させたのが,層状ペロブスカイトを対象とした新しい機構の登場である.研究代表者らは,ペロブスカイト関連酸化物における「酸素八面体の回転」を活用して,従来と異なる機構によって結晶構造の反転対称性が破れることを初めて実証した.さらにこの原理に基づいて,従来の直接型強誘電体とは異なる極性物質群,すなわち「間接型」強誘電体を発見した.本研究では,エネルギー貯蔵・変換デバイスの構築を目指して,既存の強誘電体では実現し得ない機能を有する強誘電体・極性化合物を開発する.
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研究実績の概要 |
BaTiO3やPb(Zr,Ti)O3などに代表されるペロブスカイト酸化物強誘電体は直接型強誘電体であり,電気分極そのものが常誘電-強誘電相転移の主秩序変数となる.一方で,ペロブスカイト関連層状酸化物では,2種類の非極性構造歪み (結晶学的軸周りの酸素八面体の回転と傾斜) に伴って電気分極が従属的に生じる場合がある.このとき,強誘電相転移を駆動する主秩序変数は酸素八面体の回転と傾斜に関するパラメーターであり,電気分極は従秩序変数となる.このタイプの強誘電体はハイブリッド間接型強誘電体と呼ばれる.本研究では,「物質合成-第一原理計算-構造解析-分光・物性測定」の有機的連携に基づいて,新規ハイブリッド間接型強誘電体を開拓するとともに,このタイプの強誘電体に特有の機能を創出する. 令和5年度は,遷移金属がBサイトを占有したペロブスカイト関連層状酸化物に焦点を当て,新規間接型強誘電体の開発を目指した.具体的には,候補物質の多結晶体を合成し,中性子回折や透過型電子顕微鏡観察を駆使して精密構造を決定するとともに,分極反転などの強誘電性を評価した.当該の層状ペロブスカイト酸化物を通常の固相反応法で合成したとき、主相以外に多くの不純物相が生成したが,液相プロセスにより作製した前駆体を原料粉末として用いることで,不純物相が低減された.この液相プロセスを用いた合成手法により,いくつかの組成において新規強誘電相が得られることもわかった. 研究期間全体を通して,極性化合物や強誘電体をいくつか見出したことは大きな成果であり,このことはハイブリッド間接型強誘電体の種類の拡張や機能の創出につながると期待される.
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