研究課題/領域番号 |
22KF0216
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補助金の研究課題番号 |
22F22337 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 俊法 京都大学, 理学研究科, 教授 (10192618)
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研究分担者 |
BOYER ALEXIE 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2024年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
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キーワード | ウラシル / チミン / 光化学 / 内部転換 / 光安定性 / 超高速分光 / 光電子分光 / 置換基効果 |
研究開始時の研究の概要 |
溶液中の分子の超高速光化学反応における電子状態の変化や溶質溶媒相互作用の重要な役割を明らかにするために、高次高調波発生を用いた極端紫外光電子分光を方法論として、超高速分光を行う。紫外励起+極端紫外光イオン化や極端紫外光励起+量子干渉測定により、紫外光化学反応と放射線化学反応の両者について詳細な実験研究を進める。また、比較のために、気相孤立分子の実験研究も合わせて行う。
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研究実績の概要 |
核酸塩基の1pp*状態から基底電子状態(S0)への高速な電子緩和や(光化学反応を起こす可能性のある)1np*状態や3pp*状態への緩和過程の量子収率(QY)を検討した。既にウラシル(Ura)、チミン(Thy)の気相孤立状態を調べたところ、1pp*状態は17fs(Ura)や39fs(Thy)という驚くべき短寿命で電子緩和するが、それらはかなり高い量子収率(QY;0.45(Ura),1.0(Thy))で1np*状態に緩和することが確認されていた。しかし、水溶液中のNBでは1np*状態のQYは0.07以下(Ura)ならびに0.2以下(Thy)と低く、S0への緩和が主であった(nucleoside, nucleotideでも同様)。水溶液中で1np*のQYが低くなる理由は、1np*状態が水素結合によりエネルギー的に不安定化し、1pp*からの電子緩和過程に寄与しにくくなるためである。さらに興味深いことに、ThyとUraの分子構造はメチル基の有無しか異ならないにもかかわらず、UraのS0への内部転換が遙かに速いことが分かった。その原因は、これらの分子の1pp*状態からS0への電子緩和がC5の置換基が面外に突き出た構造を経ることにある。C5にメチル基が入ると嵩高いメチル基の面外運動が水和殻との立体障害で抑制されるため、Thyの1pp*状態の寿命が長くなり、1np*状態のQYも高くなるのである。この点をさらに調べるために、C6をメチル化した6-methyluracil やC5にFを導入した5-Fluorouracilを研究したところ、前者ではダイナミクスがUraを殆ど異ならず、後者ではThyと類似の挙動が観測された。よって、C5のメチル基の重要な寄与が明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UracilとThymineが大きく異なる緩和速度を有し、それがC5の位置へのメチル基の導入に起因することを明確にしたことは特筆に値する。UracilとThymineのポテンシャルエネルギー曲面は高精度の量子化学計算(MS-CASPT2)でも違いが無いことから、水溶液中での両者のダイナミクスの差は溶媒の動的応答に帰着される。これらの分子の1 pp*状態からS0への電子緩和は、必ず非平面の構造を通過しなければならないが、Thymineの場合にはC5に置換されているメチル基が嵩高いために水和殻との立体障害を経験し、この決定的な構造(ポテンシャル曲面の円錐交差点)に到達するには溶媒の再配向が必要となり反応速度が低下するのである。
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今後の研究の推進方策 |
真空中に導入された試料溶液を再循環させる装置を開発・導入し、生体試料や希少試料の実験を可能にする。高繰り返しレーザーの出力パルス時間幅をmulti-plate法で30fs以下に圧縮して光子密度を上げ、繰り返し周波数100kHz以上でEUVが発生できるようにする。また、アト秒の実験を実現するためのpump-probe遅延時間の精密な制御装置の開発を行う。
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