研究課題/領域番号 |
22KF0254
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補助金の研究課題番号 |
22F22103 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
的崎 尚 神戸大学, 医学研究科, 特命教授 (80252782)
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研究分担者 |
ODUORI SYLVANUS OKECHI 神戸大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | がん微小環境 / がん免疫監視 / 抗腫瘍効果 / 抗体 / 好中球 / 自然免疫系細胞 / 樹状細胞 / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
マクロファージや樹状細胞などの自然免疫系細胞とがん細胞との膜型分子を介した相互作用は、これら免疫細胞によるがん免疫監視を抑制的に制御することが明らかとなりつつある。本研究では、自然免疫系細胞に発現する膜型分子であるSIRPαとSIRPβ1に着目し、これら膜型分子の自然免疫系細胞によるがん免疫監視における役割とその作用機序についての解析を行う。また、新規のがん治療法としてSIRPβ1の人工的な機能制御が有効性を示すかにつき、その基礎的研究を試みる。したがって本研究成果は、自然免疫系細胞によるがん免疫監視機構のさらなる理解と新たながん治療法の確立に貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、CD47-SIRPα系とSIRPβ1に着目し、自然免疫系細胞によるがん免疫監視の制御機構を解明するとともに、自然免疫系細胞を標的とした新たながん治療法の開発の基礎的研究を進め、今年度は以下の研究成果を得た。 (1)細胞間シグナルCD47-SIRPα系に着目した解析: in vitroにおいて、マウス骨髄由来樹状細胞にCD47-SIRPα結合を阻害する抗SIRPα抗体を作用させた際 がん微小環境への遊走に関連するCCR7依存的な樹状細胞の細胞運動や樹状細胞によるT細胞のリクルートに関わるケモカイン産生に対して顕著な影響は認められず、これら樹状細胞の細胞機能においてSIRPαとCD47との結合が関与する可能性は低いものと考えられた。一方、マウス骨髄由来マクロファージにおいては、抗SIRPα抗体はIL-6やTNFαなどの炎症性サイトカイン の産生を惹起することを確認するとともに、顕著に細胞の伸展が促進されることを見出し、これらマクロファージの細胞機能に対し、CD47-SIRPα結合が重要な役割を果たしていることが強く示唆された。 (2)膜型分子SIRPβ1に着目した解析: SIRPβ1発現細胞を抗原として抗SIRPβ1抗体に対する新規のモノクローナル抗体を2種類取得した。また、これらの抗体が、特定のがん細胞に対して好中球を介した細胞傷害活性を高める活性を持つ可能性を示唆する実験データを得るとともに、in vivoでの腫瘍モデルマウスにおいて抗SIRPβ1抗体の単独投与が腫瘍体積の増加を抑制する傾向を示す実験データも得られつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において、樹状細胞、マクロファージおよび抗SIRPα抗体を用いた解析から、がん微小環境でのこれら自然免疫系細胞の細胞機能とCD47-SIRPα系の関連性の解析が順調に進展した。加えて、新規のSIRPβ1特異的に結合するモノクローナル抗体を取得するとともに、得られた抗体を用い、in vitroでの自然免疫細胞における作用の解析、in vivoでの腫瘍モデルマウスでの抗体の薬効についての解析を進める段階へと至った
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今後の研究の推進方策 |
昨年度取得した新規抗体および抗SIRPα抗体を用い、in vitroでの自然免疫細胞によるがん細胞に対する作用とその作用機序を詳細に検討するとともに、腫瘍モデルマウスにおける抗体の抗腫瘍効果の有無の解析を進め、新たな自然免疫系細胞によるがん免疫監視機構の解明と新規抗体の抗腫瘍剤としての有効性を検証する。
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