研究課題/領域番号 |
22KF0273
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補助金の研究課題番号 |
22F22704 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
盧 濤 広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 教授 (80289652)
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研究分担者 |
BAI XUE 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2024年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
2023年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2022年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 謝罪談話 / 連続体 / ビジネス謝罪 / 異文化コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
日本語の謝罪表現の基本的な類型を再確認、再分析しつつ、交渉的コミュニケーションのサービス業と交流的コミュニケーションの教育活動における謝罪コミュニケーションの実態調査を行うと共に、それぞれの表現的類型の特徴を分析しながら、謝罪表現が成立する動機付けを解明する。また、謝罪表現が比較的豊かとされる日本語を、日本社会、日本文化と関連付けて捉え直し、日本人のコミュニケーション行動原理の説明を試みる。
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研究実績の概要 |
謝罪表現が比較的豊かとされる日本語について、日本社会と日本文化と関連付けながら、謝罪表現の言語コードを中心に捉え直し、日本人のコミュニケーション行動原理の説明を試みるのが本研究の目的である。昨年秋から始まった半年だけの研究期間だったが、「日本語日常会話コーパス(有償版)」と「朝日新聞クロスサーチ」などのデータベースを利用し、謝罪表現の言語的データを収集すると共に、広島大学図書館所蔵の資料などを確認したうえ、先行研究の成果を整理しつつ、先行研究に基づく言語的データの分析を開始した。その結果、グラウンデッドゼオリーの理論に基づき、日本語の謝罪談話の認知的文脈は主体中心であり、主体要求、主体授与、主体提示に代表される主体相互作用と認知によって具体的に駆動され、環境と規範という客観的環境によって外的に駆動されることが解明された。具体的には、①日常会話における謝罪表現の重複使用について、会話の視点に基づく考察を行った;②ストラテジー連続体は、日本の謝罪ストラテジーを分類・分析する一般的なモデルから脱却し、謝罪者を「内部-移行-外部」の中心とし、受け手を謝罪ストラテジー変更連続体の中心とする、ストラテジー選択の連続体を構築するものについての分析を行った。その研究成果は、[1]白雪. グラウンデッドゼオリーに基づいた日本語友人間の謝罪文脈研究[J].西日本教育研究,2023,pp84-104.[2]白雪. 日常会話における謝罪定型用語の繰り返し研究;「ごめん」を例にして(学会口頭発表予定)に反映されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
謝罪表現が比較的豊かとされる日本語について、日本社会と日本文化と関連付けながら、謝罪表現の言語コードを中心に捉え直し、日本人のコミュニケーション行動原理の説明を試みるのが本研究の目的である。 昨年秋から始まった半年だけの研究期間だったが、「日本語日常会話コーパス(有償版)」と「朝日新聞クロスサーチ」などのデータベースを利用し、謝罪表現の言語的データを収集すると共に、広島大学図書館所蔵の資料などを確認したうえ、先行研究の成果を整理しつつ、先行研究に基づく言語的データの分析を開始した。 その結果、グラウンデッドゼオリーの理論に基づき、日本語の謝罪談話の認知的文脈は主体中心であり、主体要求、主体授与、主体提示に代表される主体相互作用と認知によって具体的に駆動され、環境と規範という客観的環境によって外的に駆動されることが解明された。具体的には、①日常会話における謝罪表現の重複使用について、会話の視点に基づく考察を行った;②ストラテジー連続体は、日本の謝罪ストラテジーを分類・分析する一般的なモデルから脱却し、謝罪者を「内部-移行-外部」の中心とし、受け手を謝罪ストラテジー変更連続体の中心とする、ストラテジー選択の連続体を構築するものについての分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究においては、日本語の謝罪談話に関する理解を深めるために、これまでの研究成果を基に継続的な研究を行っている。これまでの研究成果としては、日本語の謝罪談話について、認知文脈、定形用語、謝罪連続体の観点から説明を試みた。これから、哲学的、社会学的、言語学的理論を統合し、謝罪談話の原因、プロセスなどを謝罪連続体という観点から考察することによって、謝罪に関するより深い知見を得ることを目指す。 また、ビジネス会話における謝罪表現の分析を深めるため、まずは既存のビジネス会話コーパスを可能な限り補充することを目標とする。そしてまた、必要に応じて質問紙やインタビュー調査などの手法を用いて、より詳細なデータ収集を行い、日本のビジネス会話における謝罪の言語様式を解明することを目指す。本研究を通じて、ビジネスにおける円滑なコミュニケーションを促進することを図る。 さらに、異文化間コミュニケーションにおける謝罪の文化的異同を究める。本研究の目的は、日本の謝罪に関する理解を深めることであり、それによって、異文化間コミュニケーションにおいて、謝罪に関する誤解やトラブルの回避を可能にすること、そして日本語教育に寄与することが期待される。
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