研究課題/領域番号 |
22KF0286
|
補助金の研究課題番号 |
21F21350 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究院, 教授 (10211921)
|
研究分担者 |
FAJAR ADROIT 九州大学, 工学研究院, 外国人特別研究員
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2022年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2021年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | イオン液体 / 機械学習 / レアメタル / リサイクル / 溶媒抽出 / 分離技術 / 深共晶溶媒 / 金属分離 / 計算科学 / 金属リサイクル / 分子動力学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、機械学習(ML)を用いて、高選択性かつ低環境毒性を有する金属抽出用イオン液体(IL)を開発することを目的とする。 金属資源は、現代技術において重要な構成要素ですが、その資源は厳しく制限されている。また、現在の金属採掘産業は、有毒な化学物質を含む高エネルギープロセスに依存している。そのため、グリーンな試薬を用いた効率的な抽出システムが求められている。 このような背景下、本研究では、機械学習を組み込んだ計算科学の手法で、レアメタル分離に最適な抽出剤を分子設計し、その評価を実際に化学実験を通して検証する。本研究では、SDGsの観点から生体適合性の抽出剤を開発する予定である。
|
研究実績の概要 |
レアメタルは現代の最新機器の重要な構成要素であるが、これらレアメタルの採掘可能な資源は限られている。本研究では、機械学習(ML)を用いて、金属抽出に適したイオン液体(IL)ならびに深共晶溶媒(DES)を予測し、さらにはそれぞれの分子の安全性(細胞毒性)も加味することで、レアメタルのリサイクルに最適な環境調和型抽出剤を創生することを目的とした。 本研究は、機械学習(ML)を用いた金属抽出用イオン液体(IL)の最適分子をシミュレーションし、その有用性を実証した。分類と回帰モデルは、それぞれ0.82の精度と0.76のR2値を達成し、優れた学習能力と予測に対する高い信頼性を示した。モデルは、ILの陽イオンと陰イオンの両方が金属選択性を決定する重要な要因であることを明らかにし、陽イオンの方が環境毒性レベルに大きく寄与していることを示した。MLモデルからの予測に基づき、実際の抽出性能の評価のために3種類のILを合成した。合成したILを含んだIL溶液を用いると、それぞれのILによって、Pt(IV)が約100%、Li(I)が約85%、Nd(III)が約80%抽出された。この研究は、重要な金属を抽出するためのILを設計するための新しい知見を与えるものである。 さらに、我々は抽出分野における環境調和型溶媒の開発に取り組むために、MLをILから深共晶溶媒へ拡張した。MLを量子化学と統合することで、深共晶溶媒(DES)の固液平衡(SLE)相図を推定する実用的なツールを開発した。DESは、近年注目される新しいタイプのグリーン溶媒であり、製造コストと合成の簡便さの点で、ILを凌ぐと考えられている。本研究の成果により、3,000種類の新たなDESのSLE相図を得ることができた。今後は、DXで得られたDESの金属分離性能を評価する予定である。
|