研究課題/領域番号 |
22KF0378
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補助金の研究課題番号 |
21F21322 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
辻井 直人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 主幹研究員 (90354365)
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研究分担者 |
VALENTA JAROSLAV 国立研究開発法人物質・材料研究機構, ナノアーキテクトニクス材料研究センター, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2022年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2021年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | d電子系 / f電子系 / 磁性 / 圧力 / 希土類化合物 / d電子系 / f電子系 |
研究開始時の研究の概要 |
3d電子による遍歴電子磁性と4f電子による価数揺動が同時に発現する場合に起こる、極めて特異な物性を、圧力下の各種測定により起源解明を行っている。二つの異なる性質をもった電子による磁性の競合は、全く新しい固体物理を開拓する可能性がある。特にYb化合物においては、圧力によって磁気秩序が誘起されやすい傾向があるのに対して、3d遍歴電子磁性は圧力で磁性が不安定化する特徴がある。このため、圧力下で両者のクロスオーバーが起こり、様々な量子臨界現象が発現することが期待される。本課題では典型的な例として、YbCo2やYbMn2Sb2に注目し、良質試料を用いた物性測定を圧力下や磁場中で行い、新奇な磁性を解明する。
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研究実績の概要 |
秩序状態の形成と消失の臨界点近傍の物性は、固体物性の中心的課題の一つである。遷移金属化合物における遍歴電子磁性と、4f電子系における重い電子状態は、上記の点で興味深く、ともに大きな研究領域を形成している。理論的には共通の枠組みでとらえられることも多いが、実験的には、両者が同時に発現するような物質は極めて少ない。本課題では3d電子と4f電子が強く相関しあって、両者がともに磁性不安定性近傍に位置するような物質に対して、磁場や圧力などの外部パラメータを制御して新規な物性を開拓し、起源解明を目的として行うものである。特に我々はこれまで物性の詳しい研究がなされていなかったラーベス相化合物YbCo2に対して、良質バルク試料の作成に成功し、低温の物性を調べた。磁化率測定の結果、Ybはほぼ3価であり、Coも磁気モーメントを担っていることがわかった。比熱測定の結果、0.4 Kの低温まで磁気秩序が見られないが、7 J/mol K2を超える巨大な電子比熱を示すことが見出された。磁場を印加すると、磁気秩序のような異常が現れ、この異常は磁場の増加とともに高温側に移動しており、強磁性に類似していることがわかった。比熱の詳細な解析により、低温側の大きな電子比熱は結晶場を仮定した4f電子の寄与だけでは説明できないことがわかった。そのため強磁性秩序近傍の3d電子が4f電子と結合して生じた磁場誘起磁気秩序であることが示唆された。同様な異常な物性を開拓するために、スクテルダイト系に注目した。これまでにYbFe4Sb12で圧力や原子欠損によるYb価数転移とFe強磁性が観測されている。一方、YbxCo4Sb12ではYb価数は圧力の影響を受けず、ほぼ2価のままであった。さらにYbMn2Sb2、YbMn2Ge2、YbCuxなどについて圧力下分光を測定し、非常に興味深いYb価数転移がいくつかの物質で観測された。
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