研究課題/領域番号 |
22KF0401
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補助金の研究課題番号 |
22F21740 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分51020:認知脳科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
入來 篤史 国立研究開発法人理化学研究所, 未来戦略室, 上級研究員 (70184843)
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研究分担者 |
TIA BANTY 国立研究開発法人理化学研究所, 未来戦略室, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 二次体性感覚皮質 / 一次運動皮質 / コモンマーモセット / ニホンザル / 自己-環境相互作用 / 行動自動分節化 / 姿勢(体軸)転換 / 把持運動 |
研究開始時の研究の概要 |
第二体性感覚皮質は、触覚に加え視・聴・平衡覚を統合して『環境世界の中の自己』を表象したとの想定のもと、座り・立つことで体軸が直立して空間情報処理が複雑化したのちに一次運動皮質を介した道具使用等による身体と環境との相互作用によって知性を創発させた霊長類脳の特性に注目し、ヒト高次脳機能の進化メカニズムの解明に以下の3つの観点から挑む:1)実験室内での神経生理学解析による仮説立案、2)大規模群飼育施設内での自由行動解析技術の開発、3)野生棲息環境を対象とした仮説検証。
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研究実績の概要 |
第二体性感覚皮質は、触覚に加え視・聴・平衡覚を統合して『環境世界の中の自己』を表象したとの想定のもと、座り・立つことで体軸が直立して空間情報処理が複雑化したのちに一次運動皮質を介した道具使用等による身体と環境との相互作用によって知性を創発させた霊長類脳の特性に注目し、ヒト高次脳機能の進化メカニズムの解明に以下の3つの観点から挑む:1)実験室内での神経生理学解析による仮説立案、2)大規模群飼育施設内での自由行動解析技術の開発、3)野生棲息環境を対象とした仮説検証。具体的には、霊長類の野生棲息環境での認知行動パタンに関する生態的視点を参照しつつ、下記2種類の研究軸に沿った具体的な認知行動および神経活動データの計測・解析を行った。 第1軸:大規模飼育施設内で自由に社会行動を行うコモンマーモセットの行動監視システムで収録されたビデオ映像をもとに、手動でラベル付けされた身体部分と行動のデータセットの定量化、行動自動分節化、社会的相互作用などの検討を行なった。 第2軸:姿勢操作や仮想現実装置による人工映像により、身体と環境の関係を変化させたときの第二体性感覚皮質神経活動パタンを総合して、自己-環境相互作用の原理を推定するために、実験室内でのニホンザルの座位および四足歩行姿勢での把持運動能力特性を評価するための実験装置や、大脳皮質の電気刺激・神経活動記録装置を開発して、サルに課題を訓練したのちに電気生理学的実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、まず霊長類の野生棲息環境での行動パタンの野外観察行って認知行動パタンに関する生態的視点を参照しつつ、下記2種類の研究軸に沿った具体的な認知行動および神経活動データの計測・解析を行った。 第1軸:大規模飼育施設内で自由に社会行動を行うコモンマーモセットの行動監視システムの各種計測パラメータを最適化して収録されたビデオ映像をもとに、手動でラベル付けされた身体部分と行動のデータセットの定量化を行った。この計測データをもとにして、野生棲息環境における行動パタンを参照しつつ、行動分節化の自動検出・再構築のための固体識別可能な機械学習アルゴリズムを開発し、複数個体の位置や運動様式および個体間の社会的相互作用などを、映像深層機械学習を用いた非侵襲動作解析システムを用いて検討した。 第2軸:姿勢操作や仮想現実装置による人工映像により、身体と環境の関係を変化させたときの第二体性感覚皮質神経活動パタンを総合して、自己-環境相互作用の原理を推定した。具体的には、実験室内でのニホンザルの、座位および四足歩行姿勢での把持運動能力特性を評価するための実験装置(手の力学特性と披把持物体提示の自動計測制御システム)、および大脳皮質の電気刺激・神経活動記録装置を開発した。 サルに課題を訓練し、大脳皮質二次体性感覚野および一次運動野上にチャンバーを外科的に装着して、電気生理学的実験を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に得られた知見をもとにして、霊長類の野生棲息環境での認知行動パタンを参照しつつ、ひきつづき下記2種類の研究軸に沿った具体的な認知行動および神経活動データの計測・解析を行なって、成果のとりまとめを行う。 第1軸:昨年度までに開発された、大規模飼育施設内で自由に社会行動を行う複数のマーモセット個体の映像深層機械学習を用いた自動行動追跡手法に付加するかたちで、今年度は社会的コミュニケーションの発声パタンの音声深層機械学習を用いた自動分節化を行う。これらの手法によって大規模データセットを分析し、環境のコンテキストを考慮に入れた、霊長類の社会的コミュニケーションの動態の多種情報統合による総合的な解析を行う。 2番軸:昨年度までに完了した実験装置のセットアップおよびサルの実験用手術・行動訓練をもとに、大脳皮質二次体性感覚野(S2)および一次運動野(M1)からニューロン活動を記録する電気生理学的実験を遂行する。大きな受容野をもつS2ニューロンと手指に受容野を持つM1マルチモーダルニューロンの活動特性を対象として、自然主義的認知行動テスト、皮質内微小刺激を駆使して、自己-環境相互作用の原理および座位および四足歩行時の比較による姿勢とタスク関連の変調を評価するための分析を行う。
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