研究課題/領域番号 |
22KF0430
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補助金の研究課題番号 |
22F22044 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 外国 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾辻 泰一 (2022) 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40315172)
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研究分担者 |
唐 超 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (70910991)
TANG CHAO 東北大学, 電気通信研究所, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2023年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2022年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 二次元材料 / グラフェン / ヘテロ積層 / テラヘルツ / 光源 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、二次元半金属と二次元半導体のヘテロ積層構造によって新原理デバイスを創出し、テラヘルツ光源としての実現性を実証することを目的とする。テラヘルツ光源を開発するため、積層二次元材料のFETを開発する。Gunnダイオードをはじめとする運動量空間キャリア遷移による電気特性で作動する発振デバイスと異なり、本研究では、実空間キャリア遷移を動作原理とする新概念デバイスの創出に挑戦する。本研究で開発するテラヘルツ光源は、複雑な光学系や成膜プロセスが不要となり、より小型化・製作簡素化できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、二次元半金属であるGrapheneと二次元半導体(MoS2, BPなど)のヘテロ積層構造によってチャネルを構成した負性微分導電率特性を有する電界効果型トランジスタ構造の新原理デバイスを創出し、テラヘルツ光源としての実現性を実証することを目的とし、電化キャリアである二次元電子を二次元半金属層-二次元半導体層間の実空間遷移をゲートおよびドレインバイアスによって電気的に制御することによって、テラヘルツ帯での自励発振を発現せしめ、コヒーレントかつ高強度の室温動作可能な集積型テラヘルツ光源の創出に挑み、以下の成果を得た。 1.二次元原子薄膜の剥離・転写:機械剥離と液相インターカレーションを用いて、層状化合物(Bulk-MoS2, Graphite)を剥離し、光学顕微鏡で数層のサンプルを選別し、Wielding法およびDry Peeling法を用いて、重ドープ酸化膜付シリコンウェハー表面に、二次元原子薄膜半導体・半金属を積層した。 2.電極とデバイスの制作:フォトリソグラフィと電子ビーム(EB)蒸着装置によりソース・ドレイン電極を、EBにより局所的バックゲート電極を、それぞれ形成した。 3.電気特性と光学特性の評価:負性微分導電率の発現するバイアス条件を同定した。 4.当初計画した実空間遷移型負性微分導電率発現機構の代替手段となる全く新しいグラフェンディラックプラズモンのクーロンドラッグ効果型負性微分導電率発現機構の発案に協働し、デバイスモデリング・数値解析で材料・構造パラメータに対するテラヘルツ発振応答特性の定量的解明で成果を得た。 次年度は、フーリエ変換赤外分光計とシリコンボロメーターを用いてテラヘルツ波発振特性・量子効率の検証、ならびにテラヘルツ分光イメージングへの応用に挑戦する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した二次元材料ヘテロ積層構造による実空間遷移型負性微分導電率素子は、剥離転写プロセスで課題が発生し若干の遅延が生じた。今年度末に計画していたテラヘルツ放射測定は次年度への若干の遅延を余儀なくされた。その一方で、当初計画した実空間遷移型負性微分導電率発現機構の代替手段となる全く新しいグラフェンディラックプラズモンのクーロンドラッグ効果型負性微分導電率発現機構の発案に協働し、デバイスモデリング・数値解析で材料・構造パラメータに対するテラヘルツ発振応答特性の定量的解明で成果を得た。 以上を勘案すると、計画全体として、おおむね順調に進展していると評せらる。
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今後の研究の推進方策 |
1.デバイスプロセス:フォトリソグラフィと電子ビーム(EB)蒸着装置によりソース・ドレイン電極を、集束イオンビーム(FIB)またはEBにより局所的バックゲート電極を、それぞれ形成する。 2.電気特性と光学特性の評価:負性微分伝導率の発現するバイアス条件を同定し、フーリエ変換赤外分光計とシリコンボロメーターを用いてテラヘルツ波発振特性・量子効率を検証する。 3.テラヘルツ分光イメージングへの応用:半導体集積加工プロセスを用いて量産型のデバイス試作に挑み、テラヘルツ分光イメージングへの応用を図る。 4.クーロンドラッグ効果型負性微分導電率素子を試作し、理論発見したテラヘルツ自励発振特性を実証する。
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