研究課題/領域番号 |
22KJ0012
|
補助金の研究課題番号 |
21J20406 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
反田 智之 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
|
キーワード | 視覚探索 / 注意 / 抑制 / visual search / attention / distractor suppression / 抑制テンプレート / negative template |
研究開始時の研究の概要 |
抑制テンプレート効果は,抑制特徴の素早い棄却と,潜在標的特徴への積極的な注意誘導の両者によって生じることが示されている (Zhang et al., 2022)。申請者は潜在標的特徴が単一の場合には抑制の効果が生じるが,複数の場合に生じないことを示した(Tanda & Kawahara, under review)。複数特徴への注意誘導はコストがかかることから (Ort & Olivers, 2020),潜在標的特徴への積極的な注意誘導が行われていない可能性がある。潜在標的特徴が複数の事態での注意誘導を検討し,抑制テンプレートのメカニズムを明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究では,抑制テンプレート効果が積極的抑制と探索後抑制のどちらに基づくか検討した。抑制すべき特徴への注意を抑制し,視覚探索を早めることができるが,その際に,抑制特徴に対して一旦注意を向ける(探索後抑制)か否か(積極的抑制)という点で対立がある。Zhang et al. (2020) は,特徴+位置ベースの抑制テンプレート効果においては,積極的抑制が生じることを示した。本研究は位置の効果を排除し,特徴ベースのみによる抑制テンプレート効果も積極的抑制に基づくかを検討した。加えて,潜在標的特徴数を操作し,潜在標的特徴が複数の事態での抑制効果を検討した。特徴ベースの抑制テンプレート効果も積極的抑制に基づくが,抑制効果は潜在標的特徴数に依存することを突き止めた。本研究は,探索課題にプローブ課題を組み合わせた。探索画面が呈示されてからプローブが呈示されるまでのSOAは4水準設けた(30, 100, 250, 及び400 ms)。潜在標的特徴数は2水準設けた (1色あるいは6色)。潜在標的特徴が1色の事態では,探索課題では抑制テンプレートの効果が見られ,プローブ課題では,抑制特徴に対して注意が向いていないことが示された。これらの結果は積極的抑制を支持する。一方で,潜在標的特徴が6色の場合には抑制テンプレート効果及び抑制特徴への注意抑制が見られなかった。本研究は,抑制テンプレート効果及び積極的抑制が潜在標的特徴数に依存することを示しており,潜在標的特徴が複数の事態での注意抑制について検討する。本研究は英語論文として執筆され,現在投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は被験者の特性不安と状態不安の観点からの抑制テンプレートのメカニズム解明を計画していたが,新型コロナウイルスの蔓延等が原因で,高不安群の被験者に対して実験を行うことが困難であった。そこで現在は異なるアプローチで抑制テンプレートのメカニズム解明に取り組んでいるが,順調にメカニズム解明へと繋がる研究が進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
潜在標的特徴が複数の事態で,抑制テンプレート効果及び積極的抑制が生じないメカニズムを突き止めることを目的とする。抑制テンプレート効果は,抑制特徴の素早い棄却と,潜在標的特徴への積極的な注意誘導の両者によって生じることが示されている (Zhang et al., 2022)。抑制特徴の素早い棄却とは,抑制条件において妨害刺激に注意を向けた場合に,その特徴が抑制特徴と定義されていれば素早く注意を解放することができることを指す。潜在標的特徴への注意誘導とは,抑制特徴への注意を回避し,潜在標的特徴に注意をより向けることができることを指す。しかし先行研究では潜在標的特徴が1色の事態のみ検討されており,複数色の事態では両者がどのように生じているか明らかでない。複数特徴への注意誘導はコストがかかることから (Ort & Olivers, 2020),潜在標的特徴への積極的な注意誘導が行われていない可能性がある。今後はこれらを検討することを目的として実験を進めていく。
|