研究課題/領域番号 |
22KJ0016
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補助金の研究課題番号 |
21J20594 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分27030:触媒プロセスおよび資源化学プロセス関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中谷 勇希 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2023年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2022年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2021年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 触媒 / 合金 / 多元素合金 / ナノ粒子 / クラスター / アルカン脱水素 / エチレンのアセトキシル化 |
研究開始時の研究の概要 |
金属触媒分野では従来、一・二元系の触媒設計が一般に行われてきたが、これらの触媒は触媒設計の観点からは柔軟性・拡張性に欠けており、触媒性能を飛躍的に向上させることは困難である。そこで本研究では、多元素合金に着目し、表面反応場を高い自由度で精密に制御することで革新的触媒を開発することを目指す。また、未開拓分野である多元素合金触媒の学理構築も行い、金属材料分野におけるブレークスルーとなり得る革新的触媒設計指針を提供することを目標とする。
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研究実績の概要 |
従来の一・二元系での触媒設計は柔軟性・拡張性に欠けており、触媒性能の飛躍的な向上は困難である。そこで本研究課題では、多元素合金を構築することにより表面反応場を高い精度・自由度で制御することで、従来の触媒系を凌駕する革新的触媒を開発し、このジレンマを打破することを目指す。令和4年度は「多元素合金を駆使した表面反応場の精密設計と革新的触媒の開発」に関して、(1) ハイエントロピー金属間化合物によるプロパン脱水素、(2) 合金クラスター触媒によるプロパン脱水素、(3) エチレンのアセトキシル化に有効なPd-Au-Cx構造の発見とAuおよびCxの役割の解明、(4) 合金触媒に関する総説(Chemical Review)の4点の主な成果を得ることができた。(1), (3), (4)に関しては令和4年度に論文掲載済であり、(2) に関しては 現在論文投稿準備中である。 特に、(1)に関してはハイエントロピー金属間化合物を初めて熱触媒として利用した最初の報告となった。5元素以上の元素を等モルに近い組成で固溶させた多元素合金、ハイエントロピー合金が近年注目を浴びており、触媒分野でも新たなホットトピックとなっている。ハイエントロピー合金では構成元素やその比率を変化させることにより高い自由度で触媒設計を行うことが出来るが、固溶体合金であるがゆえに表面反応場の精密設計が困難である。一方でハイエントロピー金属間化合物は規則的かつランダムな構造を有する物質であり、高い自由度と精度で表面反応場を設計することができる。しかしながら、この物質は材料分野でも報告例は少なく、触媒分野ではまだ報告されていない未開拓物質である。 また、(2)は(1)の触媒性能をさらに凌駕する優れた触媒であり、令和5年度は(2)に関する学理構築のため、開発した触媒の詳細な構造解析、反応解析、速度論的検討、理論計算をメインに行う。また、これまで開発してきた合金触媒を様々な反応系にも展開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの知見を基に、新規多元素合金ナノ粒子・クラスターの合成に成功し、得られた触媒が極めて優れた触媒性能を示した。そのため、触媒開発までの期間を短縮することができた。さらに、キャラクタリゼーションや理論計算の手法も確立したため、おおむね順調に研究が進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は開発した多元素合金触媒における優れた触媒性能の解明、および新規多元素合金触媒の開発・未探索触媒反応系への展開を行う。 (1)合金クラスターの開発に成功し、これの触媒はアルカン脱水素に極めて優れた触媒性能を示すことが判明した。論文投稿準備段階であり、令和5年度前半は実験および理論計算の両面から3元系合金クラスターが優れたアルカン脱水素性能を示す要因を明らかとする。 (2)多元素合金触媒は近年非常に注目されている新規触媒系であるが、分野の歴史がまだ浅く、学理の構築は不十分である。そこで前述の多元素合金触媒の他にも異なる担体・元素から成る新規多元素合金触媒の設計・合成にも取り組む。 (3)また、これまでの検討ではアルカン脱水素に対してのみのアプローチであったため、未探索の反応にも合成した多元素合金触媒の適用を検討する。
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