研究課題/領域番号 |
22KJ0019
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補助金の研究課題番号 |
21J20879 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
森本 康平 北海道大学, 大学院獣医学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 神経炎症 / ニューロン / グリア細胞 / リポ多糖 / 記憶障害 / 神経伝達物質 / 認知機能 |
研究開始時の研究の概要 |
うつ病や統合失調症など精神疾患の病因として、神経伝達物質の減少を原因とする「モノアミン仮説」が支持されてきた。一方で近年、末梢の炎症に起因する神経炎症が発病に関与するという「神経炎症仮説」も提唱され、活性化したグリア細胞が神経炎症を誘発することが報告されているものの、その発病メカニズムには未だ不明点が多い。 本研究は、「神経炎症仮説」のモデルであるリポ多糖(LPS)誘発性うつ病マウスを用いて、行動試験解析や組織・分子的な病態評価を行うとともに、グリア細胞の一種であるアストロサイトやミクログリアと神経伝達物質ノルアドレナリンとの関連に着目し、精神疾患の病態形成機構や制御方法の探索を目的とする。
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研究実績の概要 |
敗血症、歯周病、腸炎など末梢において炎症が生じる疾患では、中枢神経系疾患や精神疾患を併発するリスクが高いことが知られている。末梢の炎症を引き起こすモデルとして、マウスにリポ多糖(LPS)を腹腔内投与するモデルが多くの研究で用いられてきた。LPS投与マウスでは、抑うつ行動や認知機能障害がみられ、ニューロン変性やグリア細胞の活性化が生じることが報告されている。一方で、LPS投与が神経炎症や脳機能を損なうメカニズムについては、不明点が多い。そのため、本研究ではLPS投与による神経炎症の病態機構を組織・分子的な観点から明らかにすることを目的とする。 2022年度の研究により、LPS投与後の病態として以下の点が明らかとなった。LPS投与24時間後の血漿および全脳サンプルを用いてLALテストを行ったところ、LPS活性の増加がみられた。また、LPS投与3日後にミクログリア特異的貪食マーカーCD68の蛍光強度が増加し、7日後にニューロン活性化マーカーc-Fos陽性細胞の密度が減少した。一方で、ニューロン特異的マーカーNeuN陽性細胞の密度や、Fluoro-Jade Cを用いた変性ニューロンの蛍光染色では、変化が見られなかった。上記および2021年度までの結果をあわせ、LPS投与後の短期記憶障害のメカニズムとして、活性化したミクログリアが樹状突起スパインを貪食し、シナプス強度を低下させ、ニューロンの活性化を抑制した可能性が示唆された。また、LPS投与後にグリア細胞が活性化する原因として、LPSの脳内浸潤が考えられるため、今後検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度はLPS投与後の組織・分子的な病態評価として、脳実質のLPS活性、ミクログリアによる貪食、ニューロンの活性などについて経時的な変化を検出することができた。2021年度までの結果と合わせ、LPS投与後の短期記憶障害のメカニズムとして示唆に富む結果が得られた。一方で当初計画していた、病態の原因となる細胞種の特定を目的とする、グリア細胞の活性化抑制薬の投与は行うことができなかったため、当区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
C57BL/6NマウスにLPSを投与すると、短期記憶障害が生じ、未熟な樹状突起スパインの増加やニューロン活性化抑制、グリア細胞の活性化が生じることを2022年度までに明らかにした。2023年度は、グリア細胞の活性化が病態に関与するか検討するため、アストロサイト活性化抑制薬のフルオロクエン酸やミクログリア消失薬のPLX5622を投与した後、LPSを投与し行動試験や病態評価を行う。また、LPS投与後にグリア細胞が活性化する原因を明らかにするため、血中の炎症因子やLPSの活性中心であるLipid Aに着目して、血漿移植実験を行う。 また、2023年度は本研究課題の最終年度であるため、得られた研究結果を学術誌や学術集会等において公表する予定である。
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