研究実績の概要 |
細胞株を用いたパイロトーシス制御経路の解析については、東北大学加齢医学研究所附属医用細胞資源センターより分譲していただいたTHP-1細胞を用いた。THP-1細胞はマウス単球由来の細胞株であり、フォルボールエステルにてマクロファージに分化させることができる。 RAW264.1細胞やJ774細胞と異なり、THP-1細胞はパイロトーシスに関連するタンパク質を正常に発現することが分かっている。THP-1細胞をフォルボールエステルでマクロファージに分化させる過程で、すでにCOX-2を発現することが分かったため、COX阻害薬であるインドメタシンを培地に加えて2時間処理すると、Arginase-2の遺伝子発現量が2.4倍増加することが分かった。Arginase-2は以前の実験においてパイロトーシスの誘導に関与すると示唆された遺伝子である。 細胞内寄生菌感染動物の病理組織学的解析については、本年度はパイロトーシスに関わるタンパク質としてcleaved caspase-1, Arginase-2の発現局在を解析した。cleaved casepase-1はGasderminを活性型に変換する酵素であり、活性型Gasderminは細胞膜に孔を開け、パイロトーシスを引き起こす。解析に使用した病理切片は、本研究室に保存されている細胞内寄生菌感染動物のホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いた。ロドコッカスエクイ感染仔馬の肺・回腸において、膿瘍を形成する好中球はArginase-2に弱陽性を示し、cleaved caspase-1の発現は認められなかった。また、ヨーネ病感染牛の回腸では、ヨーネ菌に感染している類上皮細胞などの炎症性細胞にcleaved caspase-1, Arginase-2の発現は認められなかった。
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