研究課題/領域番号 |
22KJ0042
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補助金の研究課題番号 |
22J00651 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17020:大気水圏科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松田 拓朗 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 南極周極流 / 南大洋 / 順圧モデル / 中規模渦 / 渦飽和 / KdV方程式 / 共鳴波動 / 非線形物理 / 子午面循環 / 気候変動・気候変化 |
研究開始時の研究の概要 |
南極周極流の海流-地形相互作用と中規模渦が子午面循環に与える影響を検証する。今日までの研究からメソスケール現象が子午面循環の維持に重要な役割を果たすと考えられているが、物理的にどのようなプロセスで子午面循環を維持しているのかについては統一的な見解は得られていない。また、海流と地形の相互作用も同様に重要である可能性が指摘されているものの、その物理プロセスは未解明であり、気候の将来予測を行う上でブラックボックスとなっている。本研究は南極周極流域における子午面循環の物理を明らかにすることで、今後生じえる気候変動・気候変化とそれを支配するメカニズムを解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
偏西風の強化トレンドに伴う南大洋の変化を理解するため、2023年度は2022年度に引き続き、現実的な海洋大循環モデルと理想化したチャネルモデルを用いて南極周極流の応答を調べた。理想化した順圧モデルを用いて、南極周極流が偏西風に応答する際、ジェットの持つ慣性効果が海底圧力の変化を介して流量の応答に影響を与えることを明らかにした。また、モデルに与える海底地形の形状を変える実験を行い、海底地形の形状に応じて流量の応答特性が異なることも定量的に示した。従来、理想化実験ではガウシアン型の海底地形を与えることが通例となっているが、本解析結果は海底地形の形状が結果に影響を及ぼす可能性を考慮する必要があることを示唆している。本成果は国際誌に投稿して受理された。 また、極域と亜熱帯域のトレーサー交換を明らかにする一般的な手法の開発を目指して、昨年度に引き続き、Lagrangian Coherent Structure(LCS)の解析を行った。LCSは北太平洋域の極域への熱輸送の経年変化をよく表現することを明らかにして、国際誌において発表した。今後は南極周極流にも同手法を適用して、トレーサー輸送のダイナミクスの議論を行う予定である。ただし、本解析手法は統計処理に馴染まないため、気候変動とトレーサー交換の議論を行う上ではいくつか困難があることも明らかになった。この困難を克服するため、機械学習など統計解析と組み合わせやすい手法も取り入れることで、海洋の三次元循環像と気候変動の関係がより詳細に理解できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度までの解析で本研究が目指す「南大洋における中規模渦と三次元循環の関係」の理解に向けて、理論の整備が整っている。また、数値実験は想定通りの結果が得られており、実験結果をまとめることで、気候変動に伴い渦活動がどの海域で変化して、いかなる影響を与える可能性があるか明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に行った海洋大循環モデルを用いた数値実験の結果をまとめて、論文投稿を行う。数値実験は期待通りの結果が得られているため、本結果をまとめることで、南極周極流の中規模渦の気候変化に対する応答が明らかになる予定である。
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