• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

地下環境へ進出した甲虫を対象に、感覚器官の発達と消失、その進化過程を解明する

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0085
補助金の研究課題番号 22J12200 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分45020:進化生物学関連
研究機関北海道大学

研究代表者

丹伊田 拓磨  北海道大学, 地球環境科学研究院, 特別研究員(DC2)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
研究課題ステータス 完了 (2023年度)
配分額 *注記
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード地下性甲虫 / 視覚 / 偽遺伝子
研究開始時の研究の概要

地下環境に生息する甲虫目チビゴミムシ亜科を対象に、嗅覚・味覚・触覚の発達と視覚の消失という仮説を検証する。まず初めに、チビゴミムシ亜科の地上種と地下種のゲノム配列を取得し、嗅覚受容体と味覚受容体、機械刺激を感知するチャネルの遺伝子数を比較する。次に、ゲノム解析と行動実験により光受容機能の有無を明らかにする。先行研究から洞窟に生息する魚類では、嗅覚・味覚・触覚の発達と視覚の消失が確認されている。本研究において感覚器官の発達と消失を昆虫類で検証することで、生物の地下環境への進出に伴う形質進化の一般性について考察する。

研究実績の概要

光が届かない地下環境へ進出した昆虫は、一般的に複眼や体表面の色素が退化している。このような地下性昆虫は数千種ほど存在すると見積もられているが、遺伝子の退化について明らかにされた例は数少ない。そこで本研究課題では、日本各地の地下環境に生息するチビゴミムシ類(昆虫網;甲虫目;チビゴミムシ亜科)に着目し、視覚に関わる遺伝子が退化しているかについて明らかにすることを目的とした。2022年度は、地表に近い地下浅層に生息し、著しく縮小した複眼を持つズンドウメクラチビゴミムシを対象に、光受容タンパク質をコードするopsin遺伝子の有無や選択圧について調べた。その結果、ズンドウメクラチビゴミムシは、長波長オプシン遺伝子と紫外波長オプシン遺伝子を保持し、それらの遺伝子は機能的な制約を受けていることが示された。2023年度は、独立に洞窟へ進出したと考えられ、複眼を消失している2種:アシナガメクラチビゴミムシとヒラケメクラチビゴミムシを対象に,視覚に関わる遺伝子24個を調べ、偽遺伝子化について判定した。その結果、洞窟性チビゴミムシ2種では、opsin遺伝子などの光受容遺伝子や、cardinal遺伝子などの複眼の色素合成遺伝子が共通して退化していることが分かった。このような共通した遺伝子の退化が生じた要因として、それらの遺伝子は複眼のみで働くのか、複眼以外の組織でも働くのかといった多面発現の影響があると考えた。そこで、モデル生物の各組織における遺伝子発現量の情報から多面発現の程度を表す指標を算出したところ、洞窟性チビゴミムシ類で退化している遺伝子は多面発現の程度が小さいことが分かった。本研究課題により、洞窟性チビゴミムシ類では視覚に関わる遺伝子が退化しており、独立に洞窟へ進出した系統であっても、多面発現の影響によって同じ遺伝子が退化したことが示唆された。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Photoreceptor genes in a trechine beetle, Trechiama kuznetsovi, living in the upper hypogean zone2023

    • 著者名/発表者名
      Takuma Niida, Yuto Terashima, Hitoshi Aonuma, Shigeyuki Koshikawa
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: -

    • DOI

      10.1101/2023.02.28.530396

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 洞窟性チビゴミムシ類における遺伝子の退化と多面発現の関係2024

    • 著者名/発表者名
      丹伊田拓磨・越川滋行
    • 学会等名
      日本昆虫学会第84回大会・第68回日本応用動物昆虫学会大会合同大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 洞窟種を含むチビゴミムシ亜科3種の視覚関連遺伝子の比較2023

    • 著者名/発表者名
      丹伊田 拓磨・越川 滋行
    • 学会等名
      第67回日本応用動物昆虫学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 地下浅層に生息するチビゴミムシのオプシン遺伝子と走光性2022

    • 著者名/発表者名
      丹伊田 拓磨・越川 滋行
    • 学会等名
      日本昆虫学会第82回大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi