研究課題/領域番号 |
22KJ0132
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補助金の研究課題番号 |
22J21807 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分45040:生態学および環境学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石黒 智基 北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 個体群生態学 / 植物の都市環境への適応 / 都市化が進化に与える影響 / 都市における植物の適応進化 / 都市化による環境変異 |
研究開始時の研究の概要 |
現在、都市化による環境変化が、生物の生態や進化に大きな影響を及ぼすことが明らかにされつつある。生態と進化の間には、双方向の相互作用があることが分かってきているが、人間活動(社会)がどのような影響を及ぼすのかは明らかにされていない。 そこで本提案は、野外モデル系を新たに確立し、社会-生態-進化フィードバックに関する実証研究を行うことを目的とする。具体的には、建物用地や道路など人間の土地利用パターンを現す都市構造(社会)から始まり、植物の進化を介して送粉系(生態)に影響を与え、農業生産性(社会)として人間にフィードバックする、社会-生態-進化フィードバックフローを仮説として設定し、その検証を行う。
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研究実績の概要 |
これまでの研究をふまえ、都市内の自然緑地が少ないほど被食防衛形質の頻度が低下するという仮説を検証した。自然緑地の配置など景観要素が異なる都市におけるシロツメクサ被食防衛形質の空間分布を比較し、都市適応における被食防衛形質の空間分布パターンを明らかにすることを目的とした。
自然緑地の配置やコンクリート被覆率等の景観要素が異なるように、都市中心から郊外農耕地帯を含む旭川市、釧路市、函館市 それぞれの各所個体群からシロツメクサを定量採取した。シロツメクサは被食防衛形質をもつ個体と持たない個体に分かれる多型のため、Feigl-Anger アッセイにより遺伝子型を判別し、都市から郊外にかけての被食防衛形質頻度の空間変異を調べた。また、被食度や生育地の開空度のデータや、GIS データベースより気温や積雪深などの景観データを得て、被食防衛形質の集団内頻度を変化させる要因を統計解析により明らかにし、被食防衛形質集団内頻度の空間変異の予測モデルを構築作成した。また、これらデータと、これまでの研究で得られたデータを比較・統合した解析を行い、景観要素と都市適応における形質の空間分布パターンを明らかにしようとしている。 また、都市部集団と郊外部集団を用いる相互移植実験により局所適応を検出すると共に、都市全体でどれだけ遺伝的交流が行われているのかを明らかにするため、集団遺伝学的解析を行っている。
これらの研究成果により、複雑かつ不均質な都市環境が生物の進化に及ぼす影響の実態についての理解を大きく深化させることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自然緑地の配置やコンクリート被覆率等の景観要素が異なるように、都市中心から郊外農耕地帯を含む旭川市、釧路市、函館市 それぞれの各所個体群からシロツメクサを定量採取した。シロツメクサは被食防衛形質をもつ個体と持たない個体に分かれる多型のため、Feigl-Anger アッセイにより遺伝子型を判別し、都市から郊外にかけての被食防衛形質頻度の空間変異を調べた。また、被食度や生育地の開空度のデータや、GIS データベースより気温や積雪深などの景観データを得て、被食防衛形質の集団内頻度を変化させる要因を統計解析により明らかにし、被食防衛形質集団内頻度の空間変異の予測モデルを構築作成した。また、これらデータと、これまでの研究で得られたデータを比較・統合した解析を行い、景観要素と都市適応における形質の空間分布パターンを明らかにしようとしている。 局所適応を検出するために都市部集団と郊外部集団を用いる相互移植実験を実施している。また、都市全体でどれだけ遺伝的交流が行われているのかを明らかにするため、集団遺伝学的解析に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
被食防衛形質の頻度が高い集団ほど送粉者の誘引・活動が 高まり、低い集団ほど送粉者の誘引・活動が弱まるという仮説の検証を目的として操作実験を行う。 都市部において被食防衛形質の頻度が低下したことにより 送粉者の誘引・活動が弱まり、その結果近隣農地での送粉効率が低下することが農業生産性の低下につながるという仮説の検証を目的として、操作実験を行う。
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