研究課題/領域番号 |
22KJ0142
|
補助金の研究課題番号 |
22J22532 (2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小川 直輝 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
|
キーワード | 画像分類 / テキストデータ / 注目領域 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
情報科学分野において発展しているAI技術の活用により,土木工学等の専門分野での業務効率化を実現可能な画像分類技術の構築が求められている.一方,従来のAIが実データの入力を想定しておらず,注目領域の正確性の担保や技術者が解釈しやすい形での判断根拠の提示が困難であることは,AI技術の活用の障壁となっている.そこで,本研究では,多様な実データから学習に有効な画像の自動選択,技術者の注目領域を理解した分類,判断根拠のテキスト形式での提示を可能とする.以上により,AIの持続的高度化が可能なヒューマンオリエンテッド深層学習技術を実現する.
|
研究実績の概要 |
本研究では,土木分野等の専門分野における業務効率化のための画像分類技術の実現に向けて,AIを人命や生活基盤に関わる専門分野の業務に適用可能とするヒューマンオリエンテッド深層学習技術を構築する. 令和4年度は,複数の画像群からAIの学習に適切な画像を選択可能とするため,画像と技術者が付与したテキストを入力とした画像分類時にAIが注目領域にどの程度自信があるかを示す値(確信度)を出力する手法の構築を行った.注目領域の確信度が低く出力された画像はAIが分類時に注目すべき領域を見つけられなかった画像となるため,学習に非有効な画像であると判断可能である.このように,確信度の大きさに注目することで,AIの学習に有効な画像を自動で選択することが可能となった. さらに,令和5年度において実施予定である,技術者の視線データを用いて技術者の注目領域を学習可能なAIの構築に向けて,土木分野において汎用的な知識を獲得可能なAIの構築を行った.大量の画像を用いた学習を行い,土木分野における素材や劣化に関する汎用的な知識を自動で獲得可能としたAIは土木分野における様々なタスクに適用可能である.汎用的な知識を獲得したAIを,令和5年度以降に構築するAIの基盤として活用することで,各年度でのAIのタスク遂行能力の向上が可能である. 当該年度における研究成果として,論文誌への採択が2件,査読なし国内会議での発表が1件,受賞が1件という成果を挙げており,さらに,2023年度の論文誌への採択が1件確定している.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では,令和4年度に実施予定であった,複数の画像群からAIの学習に有効な画像を自動選択の実現のために関する研究を行った.画像とテキストからAIの注目領域を分類時に注目すべき領域に近づけながら,注目領域の確信度を出力可能としたことは,AIの注目領域への確信度を基にAIの学習に有効な画像を選択する機構の実現につながった.さらに,AIが専門分野の画像に対して汎用的な知識を獲得可能としたことは,AIを土木分野の実務に適用可能とする上で基盤となる研究成果であり,令和5,6年度でのAI構築に活用することでAIのタスク遂行能力が向上する.これらの研究成果は認められ,国内外の査読付き論文誌への受理や国内学会での発表が行われており,順調に研究が進展していると判断できることから,本区分を選択した.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として,令和5年度では,技術者の視線データを用いて技術者の注目領域を学習可能なAIの構築を行うため,令和4年度に導出した理論を拡張し,技術者の注目領域とAIの注目領域を近づけるための学習アルゴリズムの構築を目指す.これにより,技術者の判定およびAIの分類におけるそれぞれの注目領域の乖離を防ぐことが可能となり,AIの出力の正確性やAIの信頼性が向上する.また,得られた研究成果を査読つき論文誌や国際会議・国内学会へ投稿することを検討している. 令和6年度では,令和4,5年度に構築したAIにおける,AIの注目領域を分類の判断根拠に活用することに加えて,AIがテキスト形式での判断根拠を提示可能とし,さらに判断根拠への技術者のフィードバックを活用したAIの継続学習機構を実現する.3年間の研究成果をまとめて,持続的高度化が可能なAIを活用したヒューマンオリエンテッド深層学習技術を完成させる.
|