研究課題/領域番号 |
22KJ0211
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補助金の研究課題番号 |
22J00761 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉原 将大 東北大学, 国際文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 視覚的単語認知 / 第二言語としての日本語 / バイリンガル / 単語習得 / マスク下プライミング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ヒトが第2言語を学習する際,どのように新しい単語を習得するのか明らかにすることを目指す。新しい単語の学習は,単語がただの知識として学習されただけの状態から,他の習得済み単語と同じように活用できる状態へと,段階的に進んでいくと考えられている。しかし,従来の研究は英語やフランス語を第2言語とするバイリンガルの検討が中心であり,しかも研究結果は一貫していなかった。そこで本研究では,第2言語としての日本語における単語習得メカニズムを明らかにするため,実験心理学的アプローチによる検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は,バイリンガル(中日バイリンガル・英日バイリンガル)が新しい日本語の単語を学習するプロセスについて検討することを最終的な目標とするものである。2023年度も2022年度に引き続き,バイリンガルにおける新たな単語の学習プロセスを検討するための前段階として,中日バイリンガルの単語認知に影響を及ぼす諸変数の特定と,中日バイリンガルが学習済みの単語に対する語彙競合の観察を試みた。 まず,中日バイリンガルの単語認知に影響を及ぼす諸変数を特定するため2022年度に実施した語彙判断課題と音読課題について,得られたデータ(反応時間・誤反応率)に対する(一般化)線形混合モデルによる分析結果の見直しをおこない,モデルにおける交互作用項の必要性について再検討した。 また,バイリンガルにおける語彙競合プロセスについて検討するため,2022年度に実施した実験(実在する漢字二字熟語200語を用いたマスク下プライミング語彙判断課題)の追試をおこなった。さらに,実在しない漢字二字非語200個をプライムに用いた同様の実験も実施した。その結果,中日バイリンガルにおいても(日本語母語話者と同様に),実在語に対しては抑制効果が観察されたが,非語に対しては促進効果が観察された。これらの結果は,日本語母語話者と中日バイリンガルの単語認知プロセスが同様の性質(すなわち,語彙競合)を示すことを示唆している。2022年度に実施した同内容の実験結果と整合的なデータが得られたことから,中日バイリンガルにおける語彙競合は頑健な現象であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は上記のとおり,中日バイリンガルの単語認知に影響を及ぼす諸変数の特定に関する分析の見直しと,中日バイリンガルが学習済みの単語に対する語彙競合実験の追試を試みた。これらの研究結果のいずれについても,現在論文執筆中であり,近く国際誌へ投稿する予定である。なお,前者の研究結果については,国際学会 (Psychonomic Society 64th Annual Meeting) にて報告した。当初の予定では,いずれの研究内容についても2023年度中に論文を投稿する予定であったが,再分析と追試に想定より時間がかかったため,やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は(2023年度に引き続き),中日バイリンガルを対象とした上記実験の結果をまとめて論文を執筆し,国際誌で発表することを目指す。それと並行して,中日バイリンガルに新しい単語を学習させる実験の準備を進め,データ収集を実施する。データ収集が完了し次第,得られた成果を国内外の学会で発表する予定である。なお,現時点では研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等はないと考えている。
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