研究課題
特別研究員奨励費
地震活動などの地殻変動に伴い、様々な要因で地球上の重力場や電磁場が変化する。その重力・電磁場の変化のうち、地殻変形による変化を抽出できれば、地殻変形の理解が促進される。そこで本研究では、地殻変形場、重力場、電磁場を微分幾何学量で統一的に取り扱い、理論に基づいて地殻変形による重力場と電磁場の関係を明らかにする。
重力場と電磁場の幾何学的関係の解明に向けた理論的研究を行った。測地学において重力場と磁場はポアソン関係と呼ばれる関係式で結ばれていることが先行研究から報告されている。このポアソン関係式は、かつて重力・電磁場統一理論(ワイルの重力電磁場統一理論)として提唱された関係式と同一であり、ワイル場と呼ばれるベクトル場で記述される。アフィン幾何学において、ワイル場は非計量という空間を特徴づける幾何学量に整理される。しかし、これまで非計量の数物的意味は明確にされていなかった。そこで、非計量に関する先行研究を基に、非計量は、空間の余分な結合場による体積歪としての膨張収縮率であると理論的に結論付けた。このことから、時空の膨張・収縮率は、時空の場(重力場)に付加した結合場(電磁場)によって生じ、その時空の場の強弱を変化させる。つまり、ポアソン関係は、仮想的に電磁場による時空の膨張・収縮に重力場の強弱を対応させることで成り立っていることになる。また、情報幾何学における非計量と、粘弾・破壊現象を特徴づけるべき指数(フラクタル次元)の関係を研究した。情報幾何学は一つの確率関数を空間の一点とする空間を取り扱っており、非計量が重要な役割を果たしていることが知られている。その情報幾何学の非計量は情報量密度の変化率を規定することが分かった。先行研究から提案されている時間的べき乗則を生み出す動的な入出力関係と非計量が伴う情報幾何学の議論を基に、(i)応答時間分布の入出力関係は、情報量の非加法性の変化が伴う統計多様体構造の共形変化として表現され、(ii) べき指数が、確率パラメータの情報量密度を規定する非計量の大きさとリンクすることを指摘した。そして、べき指数は、統計多様体上の情報量密度の変化と情報量の非加法性を反映すると指摘した。
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Physica A: Statistical Mechanics and its Applications
巻: 625 ページ: 129017-129017
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International Journal of Geometric Methods in Modern Physics
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