研究課題/領域番号 |
22KJ0256
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補助金の研究課題番号 |
22J13149 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 北海道教育大学 (2023) 東北大学 (2022) |
研究代表者 |
小岩 広平 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2022年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 「空気を読む」 / いじめ / 現代青年 / 友人関係 / 攻撃行動 / ブリーフセラピー / コミュニケーション理論 / 集団規範 / 認知 / 集団構造 / 日本文化 / 相互依存的自己観 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、「『空気』を読めない他者への攻撃エスカレーションモデル」について、エスカレーションの阻止要因を含めたモデルを作成することである。具体的には、阻止要因として教師の態度に着目し、教師が空気を読めない他者や加害者にどのような態度をとるのかによって、空気を読めない他者に対する認知、行動、いじめへの過激化の段階ごとの得点の違いを検討する。このような方法を用いることにより、空気を読めない他者への攻撃行動がいじめへと過激化するのを防ぐための知見を得る。
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研究実績の概要 |
本研究では、「『空気』を読めない他者への攻撃エスカレーションモデル」の提案と検証を目的としていた。この目的にもとづき、昨年度若年層を対象としたインターネット調査を実施した。このデータにもとづき、今年度は攻撃エスカレーションモデルを精緻化した。昨年提案したモデルにおいては、「空気」を読めないとみなされた人物に対する個人の攻撃行動の発生の説明に限られていた。これに対して本年度では、個人での攻撃行動が、集団を巻き込んだ攻撃行動に過激化するプロセスもふまえて、モデルに組み込むことを検討した。その結果、十分な適合度をもつモデルが提案された。このモデルにおいては、①構成人数が少なく、凝集性が高い集団においては、友人集団の閉鎖性が高まることにより、「空気」の規範が強くなること、②「空気を読めない」とみなされた人物への個人の攻撃行動は、「拘束型攻撃」「排除型攻撃」の2つに類型化されること、③「拘束型攻撃」により集団から抜け出せないように攻撃が繰り返された結果、暴力を伴う集団的ないじめへと過激化することの3つが結論付けられた。これらのモデルは論文としてまとめられ、論文は学術雑誌の「心理学研究」に投稿された。 また、本年度では、得られた知見をほかの研究者と議論する機会を積極的に設定した。日本心理学会第87回大会では、自主シンポジウム「現代的ないじめとその対策」を企画した。「いじり」の研究者である坂本一真先生や「インターネットいじめ」の研究者である藤原成深先生お招きし、それぞれの研究結果を公表しあうことで、いじめにおける現代性とはなにか、現代に求められるスクールカウンセラーや教師の対応とはなにかを議論した。また、日本ブリーフセラピー協会第15回学術会議で実施された自主シンポジウムにおいて話題提供者として登壇し、「空気」研究の知見から、カウンセリング場面で雑談の手法について、話題提供を行った。
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