研究課題/領域番号 |
22KJ0304
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補助金の研究課題番号 |
22J21894 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福島 諒 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 沈み込み帯 / 脱水反応 / エクロジャイト / ざくろ石 / オンファス輝石 / オシラトリー累帯 / 短距離秩序 / 粒間メルト / 逆位相領域 / フェーズフィールド法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、沈み込み帯火山フロント直下付近で変成した海洋地殻(エクロジャイト)が保存する微細組織に着目する。玄武岩質の海洋地殻が脱水しながらエクロジャイトとなる過程における流体活動の周期性を検証し、その原因解明を目指す。特にざくろ石の成長速度と、流体圧振動を反映した結晶内微量元素周期構造(オシラトリー累帯)の形成メカニズムについて、天然試料の解析に基づき考察する。加えて、集束イオンビーム装置と透過電子顕微鏡を組み合わせた試料加工・局所観察技術を駆使し、さらに高圧実験を併用することで、スラブ内流体活動の時間スケールと流体移動性に対する新たな評価手法を確立させる。
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研究実績の概要 |
2023年度は、低温エクロジャイトを構成するざくろ石・オンファス輝石の微細組織を基に沈み込み帯深部におけるスラブ流体の時空間ダイナミクスを解読すべく、前年度の予察研究を活用しつつ天然試料の本格的な解析に取り組んだ。具体的には (1) 流体の流入・交代作用に起因するマイクロスケールの岩石組織形成メカニズムと (2) スラブの断裂・沈降を伴う非定常な沈み込み・流体移動履歴の双方に対し、異なる試料・アプローチから重要な制約を行った。
(1) については、中米グアテマラ産のエクロジャイト・青色片岩試料の詳細な岩石学的記載を実施し、電界放出型電子線プローブマイクロアナライザ(FE-EPMA)を用いたざくろ石中の周期的組成構造(オシラトリー累帯)の解析結果などを基に、エクロジャイト中に流入した流体の化学組成の違いがオシラトリー累帯の様式と対応する可能性を見出した。(2) については、北米コロラド台地に産するエクロジャイト捕獲岩中のオンファス輝石を集束イオンビーム装置・透過型電子顕微鏡で詳細に解析することで、同地域のオンファス輝石が持つ短距離秩序構造が普遍的であることを確認した。また同試料の観察過程で、当該地域の類似試料からはこれまで報告されていない粒間メルト・希少な雲母鉱物を発見し、同捕獲岩が経験した温度圧力履歴・交代作用に対する新たな制約を行った。さらに、初年度に引き続き秩序化したオンファス輝石の高圧アニーリング実験も実施し、その結果も併せて同捕獲岩試料の変成-噴出カイネティクスを議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度は前年度の予察研究を十分に活かし天然試料の微細組織解析に取り組めただけでなく、透過型電子顕微鏡を用いた詳細な観察の結果として、予期せず珍しい微細組織を発見できたことから、期待以上の研究の進展があったと判断しうる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、中米グアテマラ産のエクロジャイト・青色片岩試料に対してFE-EPMAで補助的な分析を実施するほか、流体との相互作用を顕著に反映した微細組織(ざくろ石中のオシラトリー累帯を含む)について微量元素・ホウ素同位体の局所分析を実施し、流体の起源と交代作用のタイムスケールに対し制約を試みる。北米コロラド台地に産するエクロジャイト捕獲岩の研究については、今年度の研究内容をベースとして、特に元素移動様式に関してさらなる補助分析・考察を実施する。最終的にはこれらの結果を総括し、2編の国際誌投稿論文としてまとめる。
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