研究課題/領域番号 |
22KJ0309
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補助金の研究課題番号 |
22J22178 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石橋 一晃 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 円偏光 / 光渦 / 光の角運動量 / テラヘルツ波放射 / 光-スピン変換 / スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
光の角運動量の物質への転写(光-スピン変換現象)は、高速・低エネルギー磁化(電子スピン)制御が期待される。しかし、スピン角運動量を持つ円偏光を用いた光-スピン変換についても原理の解明には至っておらず、軌道角運動量を持つ光渦と電子スピンとの関係はほぼ未開拓の領域である。本研究では、主にレーザー誘起テラヘルツ放射測定系を用いて円偏光・光渦を用いた新規光-スピン変換現象の探索を実施、材料や実験条件を種々に変えた実験を進めることでその原理の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
光の角運動量を利用した高速磁化制御や大容量多重通信は次世代技術として注目されている。このような背景から、角運動量を持つ光と物質、特に電子スピンとの相互作用を明らかにすることは重要と言える。本研究では角運動量を有する光である円偏光や光渦を金属薄膜に照射した際に発生するスピン物性を明らかにすることを目的としている。 前年度は半金属ビスマスにおいて、円偏光によって誘起される電子スピンをテラヘルツ波放射測定によって調べ、その研究成果をPhys. Rev. Bに報告した。今年度は前年度に確立した上記手法を高感度化等さらに発展させ、また他の物質系にも適用することでより深い現象の理解に注力した。その結果、これまで報告の無かった白金薄膜における円偏光誘起スピン由来のテラヘルツ波放射の観測に初めて成功した。本結果に関して幾つかの会議にて発表しており、その内1つは招待講演である。発表後の活発な議論や実験結果の解析を基に現在考察を進めており、次年度に論文投稿を予定している。また、光渦誘起のテラヘルツ波放射に関しても、その観測に成功し、光の軌道角運動量や材料に対する依存性のデータを収集している。理論グループとも協力し、実験・理論両面から現象の理解を進めている。さらには、本研究課題に関わる実験を実施するために、3ヶ月間フランスの研究グループに滞在した。光によるスピン制御等スピン物性現象の深い知見を取得し、加えて新しい国際共同研究ネットワークを形成した。フランスでの研究成果は国際会議にて発表し、次年度に論文投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は角運動量を有する光である円偏光や光渦を金属薄膜に照射した際に発生するスピン物性を明らかにすることを目的としている。前年度は半金属ビスマスにおいて、円偏光によって電子系に誘起されるスピン角運動量をテラヘルツ波放射測定によって調べた。その研究成果はPhys. Rev. Bに掲載された。今年度は他の物質系にも着目しつつ、円偏光および光渦誘起のテラヘルツ波放射測定を前年度から継続・発展させてきた。測定系の高感度化により、これまでに報告の無かった白金(Pt)薄膜においてビスマスと同様な円偏光誘起テラヘルツ波放射の観測に初めて成功、現在起源の考察を進めている。光渦誘起テラヘルツ波放射に関してはさまざまなデータを収集し、理論グループとの共同研究を開始しており、実験・理論両側面から物理現象の理解を進めている。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は最終年度であるため、これまでに得られた結果を最終的に論文にまとめる。令和5年度には、円偏光誘起テラヘルツ波放射や光渦誘起テラヘルツ波放射に関して、材料依存性をはじめとして、様々な依存性のデータを収集した。これらのデータを基に解析・起源の考察を行い、実験・理論両面から現象の理解を進める。得られた成果は国際学会並びに国内学会にて発表を行う。
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