研究課題/領域番号 |
22KJ0320
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補助金の研究課題番号 |
22J22959 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
服部 祥英 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 四脚ロボット / 筋筋膜経線 / 筋骨格 / 柔軟背骨 / 大自由度 / 高速走行 / 脚-体幹連動機構 / 柔軟性 / 歩容 |
研究開始時の研究の概要 |
四脚動物の持久力や瞬発力は,同サイズの四脚ロボットを大きく凌駕する.その違いを生むとされる四脚動物走行時の全身自由度の巧みな協調が,いかにして実現されるのかは明らかではない.そこで本研究では,動物の筋筋膜経線を始めとする筋骨格構造に着目し,全身自由度協調を生む機構-制御系を構築することで,動物に比肩する身体能力を備えた大自由度四脚ロボットの実現を目指す.具体的な性能指標として,四脚ロボットの比出力及び推進効率の飛躍的な向上を掲げ,これらを達成するための,体幹部の柔軟性を活用し高い比出力を実現する原理および脚-体幹間の効率的な協調原理の提案および実装メカニズムの構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は,地上最速の動物であるチーターの全身の筋骨格構造および走行時の動作に基づく,四脚ロボットの機動性を飛躍的に向上する機構-制御系の提案を目的としている.前年度は,主に2つの取り組みを行った.まず,チーターが走行中に大きな推進力を発生させるメカニズムとして背骨の変形形状に着目した.四脚動物はgallop走行中に背中を丸めた腹屈状態をとり,背中の組織に弾性エネルギーを蓄積することが知られている.しかしながら,チーターの腹屈姿勢では,背骨の前方が一部背屈したS字形状になることが動画等から観察される.そこで,この形状の違いが,チーターの走行時の推進力の向上に寄与していると仮説を立てた.仮説検証のために,背側の筋と腹側の筋に相当する張力材により背骨をS字形状に屈曲変形させた後に開放することで,急速な伸展による跳躍動作を行うロボット実機を開発し,検証を行った.実験の結果,後脚による水平跳躍距離は,屈曲形状がS字であった場合,C字であった場合と比較し2倍以上の増加及び跳躍効率の向上を確認した.この成果をAMAM2023にて発表した. 次に,チーターが後脚のみならず、前脚の跳躍力をも増幅可能となるように提案メカニズムを拡張するため,背骨の初期形状に着目した.申請者のこれまでの研究では直線形状の背骨をアクチュエータにより変形させることでS字変形を実現していたが,構造や動作の複雑さが課題であった。複数のプロトタイプ製作による試行錯誤を通して,背骨をあらかじめS字に変形させておくことで,より単純な変形動作にも関わらず,前後いずれの脚でも跳躍力の増幅が可能であることを発見した.発見に基づき構築したモデルの有効性を検証するため,S字形状の背骨を有するロボット実機および実験系を構築し,走行実験による評価を行った.以上の実験結果は,CLAWAR2024で発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,前年度に提案した出力増幅メカニズムの洗練および拡張を達成した.前年度に提案したメカニズムは,gallop走行サイクルの二度の接地タイミングのうち,後脚接地時のみ有効であった.今年度は,メカニズムの構成要素である柔軟背骨の初期形状を直線からS字に変更することによって,前脚接地時でも機能するように拡張することに成功した.さらに,この拡張は,新たなアクチュエータの追加を必要とせず,シンプルな動作シーケンスで達成された.これにより,実際のチーターが行う二度の遊脚期を有するgallop走行における提案メカニズムの検証実験に進む目途が立った.これらの結果を鑑みて,研究は順調に進展したと評価した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,前年度に構築したS字形状の背骨を有する体幹駆動モデルを拡張し,実際のチーターが行う二度の遊脚期を有するgallop走行を再現し,提案メカニズムの検証を実施する.具体的には,これまでに開発した体幹部の出力増幅機構の出力を効果的に地面に伝達する脚部機構を開発するとともに,体幹部の自由度と脚部の自由度の協調を果たす感覚情報に基づいたタイミング制御系の構築を行う.これらの機構-制御系を有するロボット実験系により,gallop走行における提案モデルの有効性を,フルード数及びCoT等の評価によって行う.以上の研究によって得られた成果をまとめ,ジャーナルへの投稿及び国内外での学会での発表を行う.
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