研究課題/領域番号 |
22KJ0335
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補助金の研究課題番号 |
21J00204 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 東洋大学 (2023) 筑波大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
松井 健人 東洋大学, 文学部, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 民衆図書館 / 戦後ドイツ / 教育理念 / 国境図書館 / 民族 / 公共図書館 / 図書館史 / 読書 / 西ドイツ / ナチス期 |
研究開始時の研究の概要 |
戦後西ドイツの図書館団体において、どのような図書館理念が掲げられたのかを分析する。ナチ期において図書館が「民族精神の武器庫」(M.Stieg, Public Libraries in Nazi Germany,1992)と位置づけられたことに鑑み、図書館の教育的理念・役割にどのような変化が見られたのかに特に着目する。同時に、民主主義の定着・市民教育を志向する西ドイツ教育界の思想・運動と、図書館がどのような関係性の下にあったのかについても注意を払う。具体的には、占領期~50年代においてはアメリカのパブリック・ライブラリー思想をどのように受容したのか、について考察する。
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研究実績の概要 |
本年度では、戦後西ドイツの図書館員について、特に戦前期・ナチ期より活躍をつづけたF・シュリーヴァーとW・シュスターについて検討を行った。 結果、戦後西ドイツにおいても図書館理念については確かにナチ期の民族主義的な意思際は後退しているものの、依然として「民族(Volk)」を理念的支柱に据え、図書館員当人らは活動を連続的に捉えて言説を展開していたことが判明した。また、国境図書館というドイツ本国と他国との隣接国境地帯における図書館に対して、依然としてドイツのナショナル・アイデンティティを支援する教育施設として把握がなされていたことも判明した。そして、そもそもナチ期において中心的に活動した図書館員らもその活動においては全く支障なく、あるいはわずかな中断期間を経由することで、引き続き戦後西ドイツにおいても積極的に図書館活動を展開し、図書館言説を発表していったことが判明した。 なお、戦前期図書館におけるナショナル・アイデンティティについては、松井健人「ヴァイマル期ドイツ図書館と満鉄図書館の交叉? ――衛藤利夫の図書館論の検討」として『日本文学文化』(東洋大学日本文学文化学会)に論文を掲載した。また、戦前期を中心として一部戦後期を含むドイツ国境図書館の活動については、「読書する共同体の夢――戦間期ドイツ・日本の国境図書館の理念と活動」として国際共同研究加速基金「日独近代化における〈国民文化〉と宗教性」2023年度研究会において研究発表を行った。研究年度としての成果は以上であるが、次年度以降は本研究課題において得られた成果を査読研究論文として刊行し、広く公開していきたい。
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