研究課題/領域番号 |
22KJ0363
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補助金の研究課題番号 |
21J20479 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桑原 康介 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 細胞質雄性不稔性 / ミトコンドリア / トマト / 花粉 / 稔性回復 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリアゲノムに存在する異常な遺伝子によって正常な花粉の形成が阻害される現象は細胞質雄性不稔性(CMS)と呼ばれ、生育旺盛な雑種第一代(F1)の育種に利用されている。しかし、トマトにおけるCMSの研究はほとんど実施されておらず、トマトCMSの実態が不明であることからF1品種育種への利用が避けられていた。そこで本研究では、トマトCMSの実態を明らかにするとともに、ミトコンドリアゲノムの異常遺伝子がどのように正常花粉の形成を阻害するのかを解明する。さらに、ミトコンドリアゲノムの異常遺伝子の働きを抑制する核遺伝子(稔性回復遺伝子)の探索も本研究で実施する。
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研究実績の概要 |
トマト細胞質雄性不稔(CMS)を引き起こすCMS原因遺伝子として新規のミトコンドリア遺伝子(orf137)を同定することに成功している(Kuwabara et al., 2022 Plant Physiol.)。トマトCMS系統では、花粉は正常に発達できるが、花粉発芽のみに異常が生じるという雄性不稔形質を示す。詳細に不稔形質を調査するために、花粉発芽に重要な因子であるカルシウムイオンの花粉内部における局在性を調査した。その結果、稔性系統の花粉ではカルシウムイオンが1箇所に強く蓄積して、その部分から花粉発芽する様子が観察された。一方で、トマトCMS系統の花粉では、複数箇所にカルシウムイオンが強く蓄積し、複数箇所から発芽するという異常な形質を示すことを明らかにした。また、RNA-Seqを用いた網羅的遺伝子発現解析により、トマトCMS系統の異常形質と関連する核遺伝子の発現変動を複数検出することに成功した。 イネなどの他作物のCMS系統で同定されたCMS原因遺伝子の多くは、ミトコンドリア呼吸鎖複合体の活性を低下させることで雄性不稔を引き起こすことが報告されている。トマトCMS系統で同定したorf137がミトコンドリア呼吸鎖複合体の活性を変化させるかを検証した結果、全く影響を及びさないことを明らかにした。この現象はこれまで報告されておらず、orf137は他作物のCMS原因遺伝子とは異なる機能を持つことが示唆された。 トマトCMS系統の稔性を回復させる稔性回復遺伝子(RF遺伝子)はトマト稔性回復系統(Solanum pimpinellifolium と S. lycopersicum var. cerasiforme)の核ゲノム上に存在する。これまでに9個のRF遺伝子候補を発見していた。しかし、これらの遺伝子候補をトマトCMS系統に遺伝子導入しても、花粉稔性が回復しないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度中にトマト稔性回復系統におけるRF遺伝子を同定する予定であったが、候補遺伝子をトマトCMS系統に導入しても花粉稔性が回復しなかったことから、同定には至らなかった。計画当初はRF遺伝子候補の遺伝子導入により検証が可能であると予想していたが、遺伝子導入ではなく、遺伝子破壊をする必要性が新たに考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
網羅的遺伝子発現解析により検出することに成功したトマトCMS系統の異常形質と関連する核遺伝子について、花粉内部カルシウムイオンの局在性との関連性を調査する。 他作物において、RF遺伝子が壊れることで花粉稔性が回復する例が報告されている。この例を参考にし、9個のRF遺伝子候補を破壊するためのゲノム編集ベクターを作出した。現在、これらのベクターをトマトCMS系統に導入して、RF遺伝子候補を破壊した系統を作出している。
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