研究課題/領域番号 |
22KJ0386
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補助金の研究課題番号 |
22J10569 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
梨木 聡人 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 性決定遺伝子 / 性表現 / メロン / 新規性決定遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
メロンには雌花、両性花および雄花が存在し、雌雄生殖器官の分化・発達は3つの性決定遺伝子による協調的な制御機構により決定される。しかし、日本在来の雑草メロン系統は既知の性決定モデルでは説明できない特異的な性表現を示し、新規性決定遺伝子を有することが明らかにされている。また、その交雑後代は主枝に果実を着ける主枝成性を示す。そこで本研究は、新規性決定遺伝子の同定とその遺伝的メカニズムの全容解明に迫るとともに、雑草メロン系統に由来する新規性決定遺伝子(両性花遺伝子および主枝成性遺伝子)の育種利用における有用性を検証する。
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研究実績の概要 |
本課題では雑草メロン系統‘UT1’の特異的な性表現の遺伝的機構を解明し、育種的利用のための技術的知見を獲得することを目的として、性表現の遺伝解析のための複数の交雑後代を用いたQTL解析による新規性決定遺伝子座の検出、多様な遺伝的背景を有する品種・系統における新規性決定遺伝子の効果の検証、主枝成性遺伝子座のファインマッピングを実施した。これまでの研究成果の概要は下記の通りである。(1)雄花両性花性のアールス系固定品種(アールスフェボリット春系3号)と全両性花性の雑草メロン系統(UT1)との正逆交雑後代(F2集団)を用いてQTL解析を実施した結果、UT1の特異的な性表現には第3番染色体に座上する主枝成性遺伝子座Opbf3.1と第8番染色体に座上する両性花性遺伝子tpbf8.1が関与することを明らかにした。(2)多様な遺伝的背景を有する品種・系統においてOpbf3.1は全ての交配組み合わせにおいて主枝成性を示し、育種利用において高い汎用性があることを明らかにした。tpbf8.1は既報の性決定遺伝子の遺伝子型は同一であったものの、交配組み合わせによって異なる表現型を示したことから、系統間におけるtpbf8.1のアリルの違いに起因すると考えられた。(3)UT1と同様の全両性花性を示す雑草メロンG1を一回親、雄花両性花性を示すノーネット系メロンを反復親とする戻し交雑後代(BC5F1)を用いてOpbf3.1の候補領域を0.2Mbまで絞り込んだ。以上の結果から、UT1の特異的な性表現の遺伝的機構の全容解明とはいかないものの、その外観は十分に説明することができた。また、Opbf3.1およびtpbf8.1に関する遺伝学的知見およびOpbf3.1のファインマッピングで開発した強連鎖マーカーは学術的のみならず産業的にも有益であり、メロンの性表現の育種利用に貢献することが期待できる。
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