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霊長類動物モデルを用いた無意識下の意思決定を実現する神経回路基盤の探索

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0422
補助金の研究課題番号 22J20134 (2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2022)
応募区分国内
審査区分 小区分46030:神経機能学関連
研究機関筑波大学

研究代表者

豊島 理  筑波大学, グローバル教育院, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
キーワード無意識 / 霊長類 / 意思決定 / ドーパミンニューロン / 扁桃体 / 眼窩前頭皮質 / 神経科学 / 視覚マスキング / 価値
研究開始時の研究の概要

直感的で無意識的な意思決定は迅速かつ低コストでおこなわれるため、スムースな日常生活を送るのに必須の能力である。これまでヒトを対象にした研究によって無意識下で意思決定をおこなう神経メカニズムの存在が示唆されているが、その具体的な解明は進んでいない。本研究では無意識下の意思決定に関わる神経メカニズムを明らかにするため、神経活動を直接記録し操作することのできるマカクザルを使用する。これまで明らかにされてこなかった無意識下の意思決定に関わる神経メカニズムを、ヒトに近い動物モデルを用いて世界に先駆けて明らかにする研究であり、意識や意思決定に関わる神経メカニズムの理解を大きく進展させるものと考えられる。

研究実績の概要

本研究では、無意識下で価値情報を処理する脳領域を調べるため、視覚マスキングを利用した行動課題を開発し、価値に反応することが知られている眼窩前頭皮質、扁桃体、ドーパミンニューロンの神経活動を記録した。本研究では、サルに古典的条件づけと弁別課題を組み合わせた行動課題をおこなわせた。この行動課題では、条件刺激(CS)としてランドルト環のようなリング状の視覚刺激を短時間呈示し、CSに欠けがあったかどうかをサルに弁別させた。CSの欠けの方向が液体報酬(US)の量を表しており、欠けが無い場合はランダムな量の液体報酬(US)が与えられた。欠けの知覚を妨害するために、CSの呈示後にマスクを呈示した。欠けの見えやすさはCSの呈示からマスクの呈示までの期間(SOA)によって調整された。この課題において、SOAが長いとき(100, 200 ms)、欠けを正しく弁別できた(知覚試行)が、SOAが短いとき(33, 50 ms)、CSの欠けがあったにも関わらずサルは欠けが無かったと答えた(非知覚試行)。サルの報酬期待を示すリッキングは、知覚試行ではCSがより大きな報酬(すなわちより大きな価値)を示すときに増えたが、非知覚試行ではCSが示す報酬量に関わらず一定だった。この結果から、非知覚試行でサルは価値を知覚していなかったと考えられる。従って、非知覚試行で無意識下の価値情報を処理する神経活動が得られると考えられた。記録した眼窩前頭皮質、扁桃体そしてドーパミンニューロンの3領域において、非知覚試行での価値に対する神経活動(価値情報)は、知覚試行と比べて低下していた。ただ、眼窩前頭皮質の価値情報は失われていた一方で、扁桃体とドーパミンニューロンではCSを知覚していないにもかかわらず価値情報を保っていた。以上の結果から、無意識下では報酬系の限られた領域、特に皮質下領域の神経回路が価値情報を処理していることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度では、新たに眼窩前頭皮質から神経活動を記録し、無意識下において皮質領域ではなく皮質下領域で価値情報が処理されることを示した。研究結果は国際学会で発表し、多くの反響を得た。また、2頭目のサルのトレーニングは既に終えており、すぐに記録を始められる準備が整っている。

今後の研究の推進方策

価値情報を処理していた扁桃体やドーパミンニューロンは学習に重要な働きをもつことから、知覚されていない刺激に関しても学習が進むことを示唆している。今後無意識下でおきる学習に注目し、無意識下の価値情報処理が行動選択に果たす役割について明らかにしたい。2頭目からの記録とデータ解析を急ぐ。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] A Noninvasive Method for Monitoring Breathing Patterns in Nonhuman Primates Using a Nasal Thermosensor2022

    • 著者名/発表者名
      Kunimatsu J, Akiyama Y, Toyoshima O, Matsumoto M
    • 雑誌名

      eNeuro

      巻: 9 号: 6 ページ: ENEURO.0352-22.2022

    • DOI

      10.1523/eneuro.0352-22.2022

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Amygdala rather than dopamine neurons processes unconscious value information in macaque monkey2023

    • 著者名/発表者名
      O. Toyoshima, J. Kunimatsu, M. Matsumoto
    • 学会等名
      Neuroscience 2023
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-04-28   更新日: 2024-12-25  

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