研究課題/領域番号 |
22KJ0426
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補助金の研究課題番号 |
22J20394 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分52010:内科学一般関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高橋 真由美 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 加齢性疾患 / 慢性腎臓病 / 骨髄移植 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性腎臓病は世界的に加速し問題になっている高齢化を象徴する疾患の一つである。末期腎不全に至った場合の選択肢として腎移植が挙げられるが、ドナーが高齢化していることや高齢ドナー腎の臓器予後不良が問題となる。これらの経緯から、加齢性慢性疾患の発症・進展機序解明及び高齢ドナー臓器の抗老化対策に焦点を当て、1 骨髄幹細胞老化が加齢性疾患の発症・進展及び固形臓器老化に及ぼす影響を解明する、2臓器若返りの可能性を検討する、をテーマとした。 具体的には若齢/老齢骨髄+若齢/老齢レシピエント個体の4群マウスによる全身の各臓器障害モデルを作成し、 骨髄幹細胞老化が高齢好発疾患の発症に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
慢性腎臓病は世界的に問題になっている高齢化を象徴する疾患の一つである。末期腎不全に至った場合の選択肢として腎移植が挙げられるが、ドナーの高齢化や高齢ドナー腎の臓器予後不良が問題となる。これらの経緯から、加齢性慢性疾患の発症・進展機序解明及び高齢ドナー臓器の抗老化対策に焦点を当て、1 骨髄幹細胞老化が加齢疾患の発症・進展及び固形臓器老化に及ぼす影響を解明する、2臓器若返りの可能性を検討する、をテーマとした。具体的には、固形臓器老化・若返りの鍵が骨髄と臓器自体のどちらにあるかを検証する目的で、高齢発症臓器障害モデルを用いて、骨髄/固形臓器老化の寄与度を明らかにする。まず、若齢/老齢骨髄+若齢/老齢レシピエント個体の4群マウスによる臓器障害モデルを作成し、臓器障害度の評価を行うこととした。これにより、例えば老齢骨髄+老齢レシピエント個体より若齢骨髄+老齢レシピエント個体の臓器障害が軽症であれば骨髄の若返りが加齢性臓器疾患発症を抑制させていると判断でき、また、若齢骨髄+若齢レシピエント個体より老齢骨髄+若齢レシピエント個体が重症であれば、骨髄老化が臓器疾患発症を誘発していることを確定できる。まず、C57BL6の若齢マウス及び高齢マウスにおいてウシ血清アルブミンBSA誘発・膜性腎症モデルを作成した。その後、3ヶ月間の蓄尿を行い尿蛋白の程度を比較したところ、老齢個体と比較して若齢個体で有意に尿蛋白の程度が低く、BSA腎炎マウスが高齢発症モデルとして適切であることが確認できた。次に、C57BL6マウスの骨髄を採取し骨髄移植法を確立し、3ヶ月後に約100%のキメリズムを維持できることを確認した。その後、若齢/高齢マウスから採取した骨髄を若齢/高齢マウスにそれぞれ移植した後にBSA投与を行うことで、骨髄移植後にBSA腎炎モデルを作成した。3ヶ月間の蓄尿を行い、データの蓄積を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
若齢/老齢骨髄+若齢/老齢レシピエント個体の4群マウスによる臓器障害モデルを作成し、臓器障害度の評価を行うこととした。C57BL6の若齢マウス及び高齢マウスにおいてウシ血清アルブミンBSA誘発・膜性腎症モデルを作成した。また、C57BL6の若齢マウス及び高齢マウスにおいてストレプトゾシン・糖尿病性腎症モデルを作成した。マウスのストレイン検討や腎炎モデル作成に際した投与量検討等に時間を要したが、当初の計画に基づいて研究を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では2つのプロジェクトとして、A)加齢性慢性疾患の発症・進展メカニズムの解明、B)骨髄移植を活用した高齢マウス臓器若返りの試みを計画する。A)では、加齢性腎疾患モデルにおける老齢骨髄+若齢レシピエント個体、若齢骨髄+老齢レシピエント個体、老齢骨髄+老齢レシピエント個体、若齢骨髄+若齢レシピエント個体の4群マウスを作成し、それらの臨床病理評価、老化マーカーを検討する。蓄尿終了後にはそれぞれの腎組織の病理学的評価を行う。加齢性疾患モデルの代表例として、まずBSA腎炎モデルを作成したが、今後その他の加齢性腎疾患モデルを応用し、ApoE KO・動脈硬化モデル等の他臓器の加齢性疾患モデルを作成する(マウス・モデル作成用試薬、培養関連試薬、発現解析関連、抗体費)。これにより、腎疾患のみならず、全身各臓器への展開を目指す。 B) では、ヒト研究として「ヒト高齢ドナー腎を若齢レシピエントに移植した際に腎の若返りがみられるか」について検討を行ってきた。具体的には、まず、移植時に行う腎生検(0h検体)を用いたドナー年齢と老化バイオマーカー(p16、Saβgal等)との関連の検証を行った。次に、0h検体及び移植後1年で行う1年プロトコル生検の検体を用いた老齢ドナー・若齢レシピエント、若齢ドナー・老齢レシピエント、同年齢ドナー・レシピエントにおける老化マーカーの変化を解析している。老齢/若齢のマウス間で腎移植を行い、特に、老齢ドナーマウスの腎が若齢レシピエントマウスに移植した際に老化マーカーの減少がみられるかどうかを検証する。さらにその後、骨髄移植を組み合わせ、老齢マウスドナー腎の腎移植を行った後に、若齢マウスから採取した骨髄を移植し、骨髄移植を組み合わせることにより老齢マウスドナー腎の若返りが可能かどうか検証する。
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