研究課題/領域番号 |
22KJ0429
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補助金の研究課題番号 |
22J20555 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
下田 柚須乃 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2024年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2023年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2022年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 拡張型心筋症 / iPS細胞 / 心筋細胞 / LMNA遺伝子 / 分化誘導 / 遺伝子編集 |
研究開始時の研究の概要 |
拡張型心筋症(DCM)は、左心室の拡張と心収縮機能の低下をきたし、心不全や重症不整脈を合併する。病態機序は未だ解明されておらず、心移植適応疾患で最も高い割合を占める心疾患である。DCMの原因となる遺伝子は複数報告されているが、中でもLMNA遺伝子変異に起因するDCMは特に予後不良とされる。 本研究では、LMNA遺伝子変異がDCMを引き起こす機序の解明を目的としている。LMNA遺伝子変異を有するDCM患者末梢血からiPS細胞を樹立し、心筋細胞に分化させて病態モデルを作製する。その後、機能解析を行い、健常者モデルと比較することで、新たな治療ターゲットとなりうる機構の探索を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度樹立した、LMNA遺伝子変異を有する拡張型心筋症(DCM)患者由来iPS細胞3株すべてにおいてLaminA/Cのタンパク発現量の低下を認めたことから、さらなる表現型解析のため、レンチウイルスベクターを用いた遺伝子編集によりLaminA/Cの強制発現iPS細胞株作製を試みた。ウイルス感染後、ウェスタンブロッティングにてLaminA/Cのタンパク発現量を確認したところ、3株すべてにおいて発現量の上昇を確認した。心筋細胞へ分化後の同タンパク質の発現量および、それによる細胞の機能的変化は、現在解析中である。第一に、LaminA/Cの発現量上昇が、核形態に与える影響について解析を進めている。 また、より詳細な病態モデリングと機能解析に向け、心筋細胞の各サブタイプおよび心臓を構成する非心筋細胞を誘導するため、iPS細胞から二次心臓領域の心臓前駆細胞を特異的に誘導する新規誘導法の開発を行った。誘導法の開発は、二次心臓領域の心臓前駆細胞のマーカータンパク質であるISL1の発現を指標に行った。ISL1を発現すると赤色の蛍光を示すレポーターiPS細胞を用いて誘導法の検討を行った結果、従来の心筋誘導法ではISL1陽性細胞率が10%未満であったのに対し、新規誘導法では95%以上の細胞でその発現を確認した。さらに、二次心臓領域の心臓前駆細胞は、心筋細胞のみならず平滑筋細胞、血管内皮細胞への分化能を有することから、それぞれの細胞への分化誘導を行い、各種マーカータンパク質の発現を確認した。今後は引き続き、誘導された細胞の機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の通りLaminA/C過剰発現iPS細胞を作製したが、その株から分化誘導した心筋細胞の表現型解析にまでは至っておらず、また、伸展刺激負荷実験を開始できていないため。
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今後の研究の推進方策 |
作製したLaminA/C過剰発現iPS細胞の機能解析を進める。まずは、iPS細胞より心筋細胞を誘導し、同タンパク質の発現量を確認する。確認後、LaminA/Cの発現量上昇による細胞の機能的変化を解析する。機能解析として、電気生理学的解析、細胞の核形態の解析、伸展刺激負荷実験を行う。そのための予備実験として、今年度予定していた、細胞の播種方法、伸展刺激負荷の強度について順次検討を進めていく。また、今年度開発した誘導法を用い、各種心筋細胞種ごとの機能解析も進めていく。
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