研究課題/領域番号 |
22KJ0446
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補助金の研究課題番号 |
21J00514 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京工業大学 (2023) 埼玉大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
木下 真也 東京工業大学, 理学院, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 分散型方程式 / 調和解析 / フーリエ制限定理 / 適切性 / ストリッカーツ評価式 / 各点収束問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、非線形シュレディンガー方程式に代表される非線形分散型方程式のスケール臨界空間での時間大域的適切性を考える。スケール臨界空間での適切性は、一般にそれ以上広い空間で適切性が得られないことから、最良の結果であるといえる。分散型方程式の時間空間に関する線形、非線形評価式は、調和解析であらわれる制限定理と強く関連している。本研究の目的は、調和解析で近年発展著しい多重線形制限定理などのフーリエ制限定理を改良、一般化し、非線形分散型方程式の非線形評価に適用する手法を確立することである。
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研究実績の概要 |
調和解析の問題や調和解析的手法による非線形分散型方程式の初期値問題の研究をおこなった. 本年度は主に次の3つの問題について考えた. (1). プラズマ上のラングミュア波を記述する方程式系であるザハロフ方程式系の周期境界条件化での初期値問題について, 大阪大学の中村昌平氏, Innsbruck 大学の Akansha Sanwal 氏と考えた. 本研究によって, 適切性に必要な初期値の正則性の条件を緩和することに成功した. 証明の鍵となる非線形相互作用の評価において用いたのが decoupling 不等式と呼ばれる調和解析で現れる道具である. 本研究では, 共鳴相互作用と呼ばれる評価が難しい非線形相互作用に対応する decoupling 不等式を新たに証明し用いた. (2). 空間三次元上のザハロフ方程式系の小さな初期値に対する時間大域的適切性に関する共同研究を, 京都大学の加藤勲氏と行った. 物理的にも重要な空間三次元の場合の初期値が小さな場合の時間大域的適切性と解の散乱はいまだ知られておらず広く研究が行われている. この研究では初期値に球対称性を仮定したとき, 一般に最良の結果であるスケール臨界空間での初期値が小さな場合の時間大域的適切性を証明した. (3). フォンノイマン-シュレディンガー方程式と呼ばれる, 無限個のフェルミオン粒子の運動と関連する方程式の解の密度関数に関する時空間評価と, 各点収束問題について埼玉大学の Neal Bez 氏, Institute Superior Tecnic の白木尚武氏と共同研究を行った. 調和解析で広く研究されている Carleson の問題が一つの粒子に対する各点収束問題とすると,今回 取り扱った問題は, 無限個の粒子に対する各点収束問題とみなすことができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は方程式の適切性の研究に加えて, decoupling 不等式や各点収束問題など調和解析の問題についての成果を得ることができた. 特に周期境界条件化でのザハロフ方程式系の研究では, 従来の方法では非線形相互作用の評価が格子点問題に帰着されていた難しさを相互作用に対応した decoupling 不等式を用いることで克服できた点が評価できる. また, フォンノイマン-シュレディンガー方程式の解の密度関数に対する時空間評価式や各点収束問題は, 単式の場合の拡張とみなすことができる. さらに, 掛谷予想などの未解決問題とも関連があり, 興味深い問題に取り組めたことは評価できる. 本研究課題の主目的である多重線形制限定理の研究や, その方程式への応用法の開発に関しては難航しているが, 本年度の研究によって新たな着想を得た. 以上より, 本研究はおおむね順調に進行していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い, フーリエ制限定理の研究とその方程式の研究への適用法を考える. 前年度の共同研究も引き続き行う. 対面での研究集会やセミナーが再開されるようになったため積極的に参加し, 対面での議論を行う.
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