研究課題/領域番号 |
22KJ0450
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補助金の研究課題番号 |
22J00902 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
須田 啓 埼玉大学, 理工学研究科, 助教
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 傾性運動 / ハエトリソウ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では接触刺激に応じて高速運動するハエトリソウについて,「運動を開始する力の発生メカニズム」を解明する。高速運動に関わるであろう候補遺伝子の遺伝子組み換えハエトリソウを作製し,運動においてそれらの遺伝子が果たす役割を明らかにする。さらにシミュレーションを用いて,明らかとなった分子機構で葉身運動を説明できるのかを評価し,組織全体の運動を細胞レベルの分子機構でどのように制御しているのかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度作出したハエトリソウにおけるPDLP6のホモログ遺伝子の過剰発現株を用いて、接触刺激に対する応答をカルシウムイオン動態と運動観察によって解析し、PDLP6が葉身運動に与える影響を評価した。 PDLP6タンパク質に融合した赤色蛍光タンパク質mScarlet-Iの蛍光から、PDLP6が細胞質に発現している様子が観察された。感覚毛へ2度の接触刺激を与えたところ、葉身の閉合運動が観察された。また、二光子共焦点顕微鏡を用いてカルシウムセンサータンパク質GCaMP6fの輝度の変化を感覚毛の細胞にて観察したところ、野生株と同様にマニピュレーターによる接触刺激に応じた細胞質でのカルシウムイオン濃度の上昇が観察された。これらのことからハエトリソウのPDLP6タンパク質は接触刺激に応じたカルシウムイオン動態と葉身運動のいずれも完全には阻害しないことが示唆された。 ハエトリソウにおけるアクアポリン(PIP)遺伝子のホモログを単離し、PIP遺伝子に融合したmScarlet-Iの発現によって蛍光スクリーニングすることでPIP遺伝子のホモログの過剰発現株の作出に成功した。 昨年度確立したDirect Linear Transformation method (DLT法)を用いて葉身の運動を解析した結果、葉身組織は均一な速度で運動するのではなく、葉縁の特定の領域側で高速に運動することが明らかになり、運動解析において着目すべき領域が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までの結果を元に、より定量的なスクリーニングを実施するために蛍光顕微鏡用カメラの導入を検討したが、検討可能なカメラでは十分な輝度を確保できず、蛍光スクリーニングの効率向上が期待できなかった。このため熱ショックプロモーターなどの刺激依存的プロモーターを用いて株を樹立出来るだけの蛍光スクリーニング効率を確保することが難しく、当初の計画を変更して恒常的に遺伝子発現を誘導するプロモーターを用いて過剰発現株の獲得を目指したため、計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの結果からDLT法による解析で葉身運動において時空間的に形態変化の起こる順序が明らかになりつつある。このため、各遺伝子組み換え株の運動を詳細に解析することで、各遺伝子がどの領域でいつ機能しているのかを評価し、運動のメカニズムについて明らかにする。とりわけ、野生株の解析で明らかになりつつある運動領域に着目することで解析を進める。
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