研究課題/領域番号 |
22KJ0460
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補助金の研究課題番号 |
21J20337 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋山 吾篤 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 液晶 / 強誘電性 / 焦電性 / カラムナー液晶 / 水素結合 / ディスオーダー / キラリティー / 分極 / 強誘電体 / 電場応答 / 電荷移動錯体 / 自己集合 / 形態制御 |
研究開始時の研究の概要 |
強誘電性カラムナー液晶(FCLC)は,低毒性・低環境負荷であり,加工性の優れた記録素子や波長変換材料へ応用される。現在,FCLCの発現には高い電場または高温を必要とし,低動作電場の室温FCLC材料の報告例はないため,基礎および応用研究の観点から研究の進展が阻害されている。本研究では,電場応答性ジフェニルウレア分子に分岐アルキル側鎖を導入することで,低動作電場を示す室温FCLC材料の達成を目指す。電気的,分光学的な手法により,FCLCの発現機構を分子間相互作用と運動性に基づき解明し,合理的な分子設計を探求する。また,電荷移動錯体の電場応答機構に着目し,応答速度の高速化に取り組む。
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研究実績の概要 |
(1)分岐側鎖を有するジフェニルウレア分子について,強誘電性に特徴的な分極と電場のヒステリシスループを得ることに成功した。ヒステリシスループの印加電場の依存性を評価すると,高周波数ほど明瞭なヒステリシスが観測され,低周波条件におけるイオン性不純物の影響が懸念された。不純物が強誘電性に及ぼす効果を検証するため,不純物をドープした試料を作製し,電流測定と第二次高調波発生測定を実施した。結果,0.1%の不純物添加によって,望ましくないバックグラウンド電流の増加や脱分極が確認された。一方,これまで使用した非ドープ試料では,このような挙動は観測されず,不純物の効果は無視できると言える(ACS Appl. Electron. Mater.誌に掲載)。(2)側鎖に(S)-citronellyl基を4つ有するウレア分子は,強い分子間力によって分極反転が不可能であり,強誘電性が確認されなかった(Mater. Lett.誌に掲載)。分子間力を適度に低減させるため,立体障害の大きな2-butyloctyl基を6つ有する分子との混合物を作製し,混合物が室温強誘電性カラムナー液晶(FCLC)を示すことを見出した。FCLCを形成する要因を特定するため,複数の混合比で作製した試料の集合構造の評価を行った。結果,側鎖の立体効果によって異種分子が交互に積層し,カラムナー液晶が構築されることがわかった。また,混合比によって分子間力を微調整でき,ウレア基の分極反転(強誘電性)が促進された。 本研究によって,(1)では側鎖の立体障害,(2)では混合比によって,集合状態における分子間力を調整可能であり,室温FCLCの作製に関する知見を提示できた。これまで報告されたFCLCでは,分極反転と分極維持はトレードオフであったが,(2)の手法はそのトレードオフを解消し,FCLCの設計を開拓する指針として有用なものである。
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