研究課題/領域番号 |
22KJ0474
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補助金の研究課題番号 |
22J12059 (2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山崎 由利亜 千葉大学, 大学院看護学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 認知症フレンドリー / 環境評価ツール / 当事者視点 / 高齢者向け住まい / 長期ケア施設 |
研究開始時の研究の概要 |
ケア環境は認知症を有する人の生活の質を左右する重要な要素である。その環境を評価するツールはこれまで機能維持や回復に焦点を当ててきたが、近年は当事者包摂性も求められている。 本研究は、認知症を有する高齢者が自宅以外のケアを受けながら暮らす場である、高齢者向けの施設や住まいへ移り住む段階において、認知症を有する高齢者本人がその選択に参画できることを促進する、環境評価ツールを開発することを目的とする。 認知症を有する高齢者本人と家族からの意見を取り入れてツールを設計し、専門家も交えて妥当性を協議、実際のフィールドでの実用可能性の検証を踏まえ開発する計画である。
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研究実績の概要 |
2022年度の出産および近似研究の公表に伴う研究計画変更を踏まえ、2023年度は認知症を有する高齢者本人の視点と参画に焦点を当てた認知症フレンドリーな環境評価ツールを開発することを目的とし、第一段階(研究1-1、研究1-2)、第二段階(研究2-1)を進めた。 【第一段階】<研究1-1>認知症を有する高齢者本人の視点を踏まえた環境評価視点にてついて、高齢者向けの施設や住まいの入居者6名に、写真抽出法を用いた半構造化対面インタビューによる質的探索的デザインにて明らかにした。身のまわりの生活環境で普段よく過ごしているところ、気に入っている物などを対象者と一緒に撮影した写真をみながらインタビューし、質的統合法(KJ法)にて個別分析、総合分析(個別分析比較)を実施した。「自立と選択」「今までの暮らしとのつながり」など5つの視点が明らかになった。この研究結果は、2024年4月の36回国際アルツハイマー会議(ポーランド)で発表した。 <研究1-2>認知症の人々のための環境デザインなどの文献検討結果と研究1-1に基づいて、環境評価ツールVer.1(試行版)を作成した。認知症を有する高齢者が本ツールの使用者になることを前提に、環境評価領域を本人視点を踏まえたものに絞り、研究1-1の結果から評価項目を抽出した。スーパーバイズや所属研究室の高齢者看護や認知症看護の研究者とのディスカッションを踏まえ、作成と修正、洗練を繰り返した。 【第二段階】<研究2-1>環境評価ツールVer.1(試行版)の内容の妥当性と利用可能性について検討、洗練するため、専門家グループディスカッション(都合に応じ個別インタビュー)を実施し、意見を得た。ツール全体の内容は臨床的な重要性が高いとされたが、評価領域の概念の見直し、表現の的確さ、読みやすさ、構成と使用要件について議論があり、環境評価ツールVer.2(試行版)に洗練した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に変更した研究計画に沿い、第一段階(研究1-1、研究1-2)第二段階(研究2-1)まで進めることができたため、概ね自身の計画していた通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2段階構成の【第二段階】<研究2-2>を進め、研究成果をまとめる計画である。 <研究2-2>は、環境評価ツールVer.2(試行版)の理解可能性と利用可能性について当事者意見を踏まえて検討し洗練することを計画している。軽度の認知機能低下を有する通所介護利用者や施設入居者10名程度を対象に、模擬的に本環境評価ツールを使ってもらいながら、観察とインタビューを実施する。本環境評価ツールは、自宅から高齢者向けの住まいや施設等に移り住むことを検討している時期に活用するものとしている。対象者の認知機能、そのときの家族や介護の状況にあわせ、研究者からの説明や施設側の協力、データ収集中の対応の工夫をする。現在、データ収集に先立ち研究計画の倫理審査を受審中であり、5月末よりデータ収集開始、同年秋ごろ研究実施完了見込みである。 <研究1-2><研究2-1>の結果についても学術集会での研究発表を準備中であるとともに、研究全体を学位論文としてまとめる。
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