研究課題/領域番号 |
22KJ0491
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補助金の研究課題番号 |
19J00079 (2019-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2019-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 彩花 (2019-2021, 2023) 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(CPD)
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特別研究員 |
松本 彩花 (2022) 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ハンス・ケルゼン / 民主主義論 / 少数者保護 / 代表制 / 擬制 / 独裁批判 / 違憲審査権 / 民主主義 / 議会制 / 憲法裁判所構想 / 行政に対する統制 / 政治思想史 / オーストリア共和政 / 多民族国家 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ハンス・ケルゼンの民主主義論の成立過程を解明することを目的とする。彼によれば、民主主義の根本原理は自由の理念であり、個人の自律と少数者保護の実現を可能とする。従来の研究は、このような彼の民主主義論が形成された歴史的・思想的背景を解明していない。そこで本研究では、ケルゼンの思想形成を多民族国家オーストリアの歴史的文脈に位置付けて把握するとともに、民主主義と少数者保護、個人の自由に関する彼の思想的発展過程を再構成する。そして、民主主義と少数者保護を両立させるための具体的方策(比例代表選挙制度、憲法裁判所の有する違憲審査権)を構想していたことを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、ハンス・ケルゼン(1881-1973)の民主主義論の成立過程を解明することを目的とする。多民族国家オーストリアの歴史的文脈に位置付けつつ、民主主義と個人の自由および少数者保護の関係を中心に、ケルゼンの思想的発展過程を再構成することを目指す。 本年度においては、論文の執筆、著書の刊行準備を行うとともに、海外受入研究機関において研究発表を行い、これまでの研究成果の公表に努めた。第一に、これまでの研究内容をさらに発展させることで、以下の内容について論文を執筆した。まず、概念と現実の間の緊張関係に対するケルゼン独自の見解に注目し、擬制についての考察が彼の民主主義論の形成に与えた意義を検討した。そして、擬制の問題に対するこの視座こそが、代表制に対する批判的見解、特に議会制における自由委任、国民代表の観念に対する批判の基盤であったことを明らかにした。次に、自由委任および国民代表の思想をめぐる歴史的文脈に位置付けつつ、ケルゼンが人民主権論と代表制の関係をどのように理解したかを解明し、その現代的意義を考察した。最後に、これまでの研究成果を総合し、国民国家における少数者保護に関する現代の実証的研究との接合を目指した。現代における独裁および権威主義体制の問題、ナショナリズム、国民国家における少数者保護をめぐる問題に対して、ケルゼンの思想がいかなる意義を持ちうるか、その射程を検討した。 第二に、博士課程におけるカール・シュミットの民主主義論に関する研究と併せて、これまでの研究内容を取りまとめ、単著公刊に向けた改稿作業を行った。 第三に、ウィーン大学法制史・憲法学史研究所主催で招待講演を行う機会を得た。これまでのケルゼン民主主義論に関する研究の成果を報告するとともに、質疑応答のなかでは Olechowski教授をはじめとする研究者から有意義な教示を得ることができた。
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