研究課題/領域番号 |
22KJ0530
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補助金の研究課題番号 |
21J00906 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
近江 純平 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ホスファチジルセリン / 赤血球 / DHA / 脂肪酸分子種 / PSS1 / PSS2 / 血球 / 免疫細胞 / LMS |
研究開始時の研究の概要 |
生体内の血球系細胞がその系統に応じて異なるリン脂質組成・脂肪酸分子種組成を持つことを2022年度までの研究において見出した。この差異をもたらす一因子であるホスファチジルセリンの脂肪酸分子種組成に着目し、そのバリエーションを生み出す産生酵素(PSS1とPSS2)の機能解析を個体レベルで進めている。
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研究実績の概要 |
令和4年度に行った細胞系列横断的なリピドミクス解析を通じて、PSS1支配型のPS脂肪酸分子種 (C32:0、C34:0、C34:1、C36:1、C36:2)ならびにPSS2支配型のPS脂肪酸分子種(C38:6、C40:6、C40:7)の分布がマウス血球系細胞において様々に分布していることを見出していた。令和5年度では、特にPSS2支配型のDHA含有型PS脂肪酸分子種に富むPS組成を示した赤血球に着目し、PS合成酵素の欠損マウスを用いた表現型解析を実施した。赤血球は骨髄内において造血幹細胞(LSK画分)、骨髄球系前駆細胞(CMP)、赤芽球/巨核球前駆細胞(MEP)、前赤芽球(Pro-E)、赤芽球(Ery)、網状赤血球(Ret)の分化系譜を経て血中へと放出され、その後赤血球へと成熟する。DHA-PSは赤血球系譜へと運命づけられるMEP段階から微増し、その後Pro-E、Eryへと分化する過程で急激に増加した。PSS1欠損時にはこれらのPS分子種組成における大きな変化は見られない一方で、PSS2欠損時にはDHA-PSが半減以下にまで減少し、代償的にPSS1支配型のPSが著増した。その結果、PS総量としては変化せず、PSの脂肪酸分子種の組成が変化することを見出した。そこで、血液学的パラメータを測定したところ、PSS2欠損マウスでは赤血球数の微減、ならびに赤血球体積の微増が観察された。次に、PSの質的な変化が及ぼす影響を網羅的に理解するための手がかりとして、網状赤血球のトランスクリプトーム解析、ならびに成熟赤血球膜画分(ゴースト膜)のプロテオーム解析を実施した。その結果、PSS2欠損時に有意に変動する遺伝子、ならびにタンパク質分子を数十種類同定した。これらの知見は、PSの脂肪酸分子種組成が赤血球の分子発現、ひいてはその細胞特性(機械的脆弱性、変形能)にまで影響を及ぼすことを示唆している。
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