研究課題/領域番号 |
22KJ0531
|
補助金の研究課題番号 |
21J00920 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 雅也 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 社会正義 / 平等主義 / 分配的正義 / 関係論的平等主義 / 社会構造 / 社会プロセス / 社会関係 / ケア関係 / ジョン・ロールズ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、社会関係の平等を重視するとされる「関係論的平等主義」を研究するものであり、以下の二つの目的を有している。第一に、関係論的平等主義を、規範的研究の方法レベルから再解釈することを試みている。第二に、そのようにして再解釈された関係論的平等主義が制度や政策に対してどのような含意を有しているかを検討する。とくに、教育に関わる制度・政策に対する含意と家族制度の評価を、関係論的平等主義から展開していく。
|
研究実績の概要 |
本研究は、現代政治哲学における正義論で有力になりつつある「関係論的平等主義」を研究するものである。関係論的平等主義の理論的立場に対する体系的な理解に依拠して、社会制度や社会政策に対するその理論の含意を研究している。 関係論的平等主義に対する理論的理解については、昨年度までにかなりの程度まで進んでいる。従来は、関係論的平等主義は、社会における財・資源の「分配」ではなく、「社会関係」を重視する立場として理解されてきた。しかし、報告者の研究によって、関係論的平等主義は自律的行為者間の相互承認ないし相互尊重の関係にコミットするところに核心がある立場であり、そのような行為者間で相互に正当化できる社会秩序を要請する、という点が明らかになっている。 本年度は、主として、そのような関係論的平等主義の立場有する実践的な含意の研究に取り組んだ。その成果は以下の二つである。まず第一に、関係論的平等主義に立場がケア関係の解釈にどのような影響を与えるかを検討し、その成果を国内査読誌で共著論文として発表した。具体的には、近年注目を集めているヤングケラーの問題に注目して、従来の「ケアの倫理」(ケアに着目する規範研究上の立場)の研究では、ヤングケアラーがケア提供の義務を負わないと考えるべきケースを説明・正当化できないことを論じ、代替的な関係論的解釈を提示した。また第二に、他の研究者との共同研究として、自律的行為者間の平等な社会関係という観点から、教育における社会化と社会保障に対する統一的な解釈を提示し、そこから教育および社会保障の制度・政策に対する規範的指針を提供する研究も進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、本年度までの研究において、関係論的平等主義の理論に対する体系的な理解を構築すること、およびそこからケアや教育に関する規範的な含意を引き出すという研究が進んでいる。とりわけ、ケアの責務に対する関係的理解を提示する共著論文が、国内査読誌に掲載されることになった。そうした点に置いて、ほぼ順調に研究が進んでいると評価してよいだろう。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究においても、今年度の研究と同様の方向性で、関係論的平等主義の理論から諸々の社会制度・社会政策に対する規範的な指針を提供する研究に取り組んでいく。つまり、第一に、ケア関連を中心に、フェミニズム・ジェンダーの研究に正義論の観点から取り組んでいく。そして、この第一の研究に関しては、国内査読誌および英語ジャーナルに論文を投稿していく。第二に、教育社会学の研究者などと協力して、教育に関して、貧困・格差との関連の研究や、教育に関わる問題に対処するために有効な規範的提案の提示を行う研究を展開していく。こちらの第二の研究に関しても、国内査読誌に投稿して掲載されたのちには、英語ジャーナルにも論文を投稿していく。
|