研究課題/領域番号 |
22KJ0545
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補助金の研究課題番号 |
21J20167 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大島 英之 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 呉音 / 漢音 / 日本漢字音 / 漢字音の一元化 / 慣用音 / 漢語の語形変化 / 漢語 |
研究開始時の研究の概要 |
日本漢字音には、主に呉音・漢音という二つの字音体系が複層的に保存されているため、一字に対して複数の音読みを持つ例が多い。とはいえ、一方の字音との結び付きが強まり、他方の字音は用いられなくなるという変化を経た漢字も多く、現代日本語においては実質的に「一元化」しているという見方もある。本研究では、『色葉字類抄』『日葡辞書』等の辞書資料のほか、漢籍・仏典・往来物・文学作品など様々なジャンルの資料に現れる漢語の語形を調査し、特に語形揺れや語形変化の分析を通じて、中近世における一元化の実態を明らかにする。あわせて、一字漢語や字音語基の展開といった語彙史的な側面についても考察を深める。
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研究実績の概要 |
本研究は、一つの漢字における複数の音読みが一音に収束していく「漢字音の一元化」現象を、特に漢語の語形変化や語形揺れに着目して分析することを目的としている。最終年度となる令和5年度は、(1)総括的な研究と、(2)既発表内容の追加調査・論文化に重点を置いたほか、調査が不十分であった(3)近世以後の語形の交替について研究した。 (1)6月に、韓国・清州で行われた第64回口訣学会夏季全国学術大会にて「中世以降の呉音・漢音について」という発表を行った。現代に至るまでの呉音・漢音の分布の変遷について、報告者自身のものを含む先行研究をまとめる形で素描した。その後発表内容を改訂し『口訣研究』51号に掲載した。 (2)2022年度秋の訓点語学会研究発表会で発表した「漢字字体と慣用音―「萌」の字音の変遷を例に―」について、近世の字書類を中心に追加調査を行い、また新たに国立国会図書館・斯道文庫・宮内庁書陵部などで原本調査を実施することで、用例や内容を増訂して論文化したのち、漢検漢字文化研究奨励賞に応募した。本論文は佳作を受賞し、『漢字文化研究』14号に掲載された。 (3)7月に、東京大学国語研究室会にて「近世における漢語の語形変化―『庭訓往来』両点本を用いて―」という発表を行った。左右両訓の構造を持つ『庭訓往来』三本(元禄頃版・宝暦版・慶応版)を対象に、左傍の単字音と、右傍の漢語の語形を調査し、両者にみられた変化について考察した。しかし、間に位置する宝暦版が他の二本と一致しないという例が多くあり、その解釈については今後の課題を残している。 このほか、昨年度に引き続き、東大本『玉塵抄』巻五の翻刻を連名で発表した(『日本語学論集』20号)ほか、3月に中国・清華大学で開催された「フォーラム古辞書・漢字音とデータベース2024」において、『文明本節用集』に見られる四声と和訓との対応関係に関する発表を行った。
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