研究課題/領域番号 |
22KJ0565
|
補助金の研究課題番号 |
21J20523 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上田 篤 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | テンソルネットワーク / 臨界現象 / 共形場理論 / 繰り込み群 / トポロジカル相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
水が温度を上げると蒸気になるように、あるパラメーターを変えたときに状態が変わることを相転移という。この相転移の性質は、系のミクロな詳細によらず対称性や空間次元などの非常に少ない自由度のみで分類でき、ユニバーサリティクラスと呼ばれる。この普遍的な性質は、物質の性質を特徴づけるのに重要な量でこれを特定することが本研究の目的である。特に、近年急激に発展を遂げているテンソルネットワークと呼ばれる数値計算の手法はこの特徴づけと相性がよく、これを用いて定量的な解析を行う。 Z2渦によるトポロジカル相転移などのエグゾティックな物性の正体を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
数値計算において重要なことは、そのモデルがどのような物性を創発するかを分類した相図を書くことである。これは従来、大規模な系での磁化などの物理量を計算することで分類を行なっていた。この計算は皮肉にも最も重要である相の境界で難しく、非常に大きな系での計算が必要で数値的に挑戦的な課題であった。我々は、TRG/TNRに連続場の理論の繰り込み群を組み合わせることで小さなシステムサイズで高精度の計算が可能なことを提案した。 さらに、今までの研究で受け入れられていたTRG/TNRでの熱力学的極限の計算は比較的大きなエラーが存在していたことを指摘し、その数値エラーの定量的な見積もりが場の理論でできることを提案した。これらによって、TRG/TNRを使った有限サイズの計算の枠組みを作ることができた。この手法は数値的に軽量かつ精密で、我々は対数補正で決定が困難であった古典XY模型の転移点をスーパーコンピューターを用いたモンテカルロ大規模計算よりも良い結果をデスクトップの計算機で再現できた。我々の手法を使うと臨界点周りでの有効場の理論の結合定数を精密に計算できるので、R Gフローが格子模型から直接できるようになった。この手法は一般性が高く、格子場の理論の計算等への応用が期待される。この「場の理論」を「テンソルネットワーク」と組み合わせる考え方をさらに発展させることで、繰り込み群固定点に関する新たな発見もできた。相の境界の臨界点では、臨界現象の普遍性に伴う特徴量が存在し繰り込み群固定点と呼ばれ、相転移のマクロスコピックなメカニズムを紐解く上で重要な量である。TRG/TNRで相境界を計算した場合にもあるユニバーサルなfixed-pointテンソルと呼ばれるものが現れることが10年以上前から未解決問題として知られていたが、我々はこれを弦理論の計算手法を物性に応用することでこの問題を解くことに成功した。
|