研究課題/領域番号 |
22KJ0567
|
補助金の研究課題番号 |
21J20603 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
横尾 舜平 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | 地球コア / 火星コア / 高圧実験 / メタル-シリケイト分配実験 |
研究開始時の研究の概要 |
地球の液体外核は主要な構成元素である鉄よりも軽いことが分かっており、鉄より軽い元素が含まれていると考えられているが、その具体的な組成は十分に制約されていない。鉄-軽元素合金の状態図はその組成の制約となり得るが、5つの元素が候補として提案されているため多成分を扱う議論が必要となる。 そこで本研究では、地球外核という超高圧下での多成分系の議論を可能とするために、高圧実験によって多成分系状態図への制約を得ること、その結果をもとにして液体鉄中での軽元素間の相互作用の圧力依存性を熱力学的なパラメータとして見積もることを目指す。 地球と同様の議論が可能な火星コアについても軽元素組成を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
本年度は当初の計画通り、鉄-軽元素系のリキダス相関係を決定するための高圧実験を重点的に進めた。具体的には、1、鉄-硫黄-酸素-炭素系の火星コア条件下での融解実験、2、鉄-硫黄-炭素-水素系の火星コア条件下での融解実験、3、液体FeOの高圧下での密度測定に取り組んだ。 1、鉄-硫黄-酸素-炭素系の融解実験については、火星コアでの内核の結晶化を議論するに足るだけの圧力範囲、組成範囲での実験を完了した。実験結果に基づいてリキダス相関係を構築し、火星コアに内核が存在する可能性について検討した。熱力学モデルについては2成分系の不確かさが残っているため簡易なモデルしか作成していないが、火星コアを議論するには十分なモデルを得ることができた。本研究については複数の国際学会で発表を行った。 2、鉄-硫黄-炭素-水素系の融解実験について本年度より新たに取り組み始めた。鉄中の水素については回収試料から組成を決定することが難しいことが課題であったが、水素量の測定手法については確立しつつある。既に予察的な結果を2点得ることに成功したため翌年度に重点的に取り組むことを計画している。 3、液体FeOの高圧下での密度測定については、50万気圧までの圧力範囲で複数の実験点を得ることに成功した。実験手法については概ね確立したため、より高い圧力での実験結果を得ることで地球コア条件下におけるFe-O系の熱力学モデルに制約を加えることを計画している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である鉄-軽元素系のリキダス相関係の構築については、実験面では軽元素を3つ含んだ系について2種類の異なる組み合わせで取り組むことができており、順調に進んでいると考えている。熱力学モデル作成については2成分系の条件について先行研究間に違いがあることから多成分系モデルの作成が進んでいないが、モデル計算の枠組みについては概ね準備ができているため大きな遅れは生じていない。 もう一つの目的であるメタル-シリケイト間の分配実験については計画していた実験はほとんど全て終了し、地球科学的議論を行うのみとなっており、順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
翌年度の研究では、鉄-硫黄-炭素-水素系の融解実験と液体FeOの密度測定実験について実験点を増やし、それぞれ火星コアと地球コアについて議論できるだけの結果を得ることを目標とする。いずれについても実験方法の概要は確立できているため、組成や圧力の範囲を広げることができれば問題なく進められると考えている。 また、翌年度は熱力学モデル作成を重点的に行うことを計画している。2成分系状態図の再評価から始めて、自身の実験結果に基づいて3成分以上の系における熱力学パラメータの評価をしていく予定である。
|