研究課題/領域番号 |
22KJ0590
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補助金の研究課題番号 |
21J20812 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 宏太郎 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | トポロジカル磁気構造 / 磁気ヘッジホッグ / 磁気スキルミオン / カイラルソリトン格子 / 創発電磁現象 / モアレ / ヘッジホッグ / スキルミオン / 創発電磁場 / トポロジカル相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、局在スピンと遍歴電子が結合した金属磁性体において、スキルミオンやヘッジホッグに代表されるトポロジカルな磁気構造の安定性や量子輸送現象、非平衡ダイナミクスを理論的に解明することである。伝導電子とスピンの結合を取り入れた微視的なモデルや、従来の短距離のスピン間相互作用で記述されるモデルに対する大規模数値計算を主軸とした研究を行い、スピン電荷結合が磁気構造の安定性に与える影響を明らかにする。加えて、磁気構造が誘起する創発電磁場を解析することにより、物質パラメータ、温度や磁場といった外場の変化が、トポロジカルな性質や量子輸送現象、及び非平衡ダイナミクスにもたらす効果を明らかにする。
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研究実績の概要 |
申請者は特別研究員DC1の採用第3年度において、前年度までの研究をさらに発展・深化させ、研究課題である金属磁性体におけるトポロジカル磁気テクスチャと創発電磁現象をより一層踏み込んで研究してきた。その中で、磁気構造のトポロジカルな性質や創発電磁現象を系統的に制御するための独創的な枠組みである「スピンモアレエンジニアリング」を提唱した。モアレとは、複数の波の重ね合わせによって現れる干渉縞のことであるが、ある種の磁性体で発現するトポロジカル磁気構造も、しばしば複数のスピンの波の重ね合わせとして理解されている。我々はこうした磁気構造をスピンの波が作る干渉縞(スピンモアレ)として捉えて研究を行った。モアレは重ね合わせる波をわずかに変化させることでその干渉縞も大きく変化するという普遍的な特徴を有している。我々はこのモアレ現象の特徴を活かすことで、磁気構造のトポロジカルな性質や創発電磁現象、さらには磁性体が示す機能性の創出及び制御に関する研究を、実際に一次元から三次元にわたる幅広い磁気構造に対して行った。具体的には、一次元カイラルソリトン格子と呼ばれる磁気構造に対して、外部磁場を変化させることで重ね合わせの波の数が変化し、磁気構造の創発電場や駆動速度が制御可能であることを明らかにした。二次元スキルミオン格子を対象とした研究では、重ね合わせる波の位相自由度がスピンモア超構造のコヒーレンスに重要な影響を及ぼしていることを明らかにした。三次元ヘッジホッグ格子に対する研究では、磁場を通じて重ね合わせの波の振幅が変化することで、電流に対する磁気構造の駆動方向が劇的に変化することを明らかにした。こうした統一的な視点に基づいた一連の研究をまとめた博士論文は、工学系研究科長賞(研究)を受賞するなど高い評価を受けている。また、これらの研究成果について、現在、学術論文として発表する準備を進めている。
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