研究課題/領域番号 |
22KJ0596
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補助金の研究課題番号 |
21J20861 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分17040:固体地球科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
彦坂 晃太郎 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 高圧物性 / 巨大氷惑星 / 超イオン相 / ダイヤモンドアンビルセル / 液体不混和 |
研究開始時の研究の概要 |
天王星と海王星に代表される巨大氷惑星は系外でも発見されており、惑星形成理論上も重要であると考えられているにもかかわらず、その内部構造や形成過程については未知の部分が大きい。本研究ではダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用いて、高温高圧下での氷の性質を調べる研究を進める。具体的には、H2Oの超イオン相の電気伝導度測定と相転移境界、加えてH2O-NH3系とH2-H2O系の相図について研究を進めることによって、巨大氷惑星の内部構造や磁場の起源についての知見を広げる。
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研究実績の概要 |
ダイヤモンドアンビルセルを用いた実験における新たな加熱手法(レーザー外熱法)の開発を行った。具体的にはレーザーで直接試料を温めるのではなく、ダイヤモンドに挟まれたガスケットを温めることによって、簡便に均一な加熱実験が実施できるようになった。この手法の開発によって、従来は配線の準備や取り回しが難しかったジュール加熱による手法を使わずに、透明試料を高圧下で非常に均一に加熱することが可能となった。これによって、ガス充填装置を使った試料充填の難易度が下がり、従来高圧高温実験が行われてこなかった組成の研究が進めやすくなった。その応用として、SPring-8の高圧ガス充填装置を用いて、ダイヤモンドアンビルセルの試料室にH2とH2Oを封入し、加圧後にレーザー外熱によって加熱する実験に取り組み始めた。このようにして液体状態のH2とH2Oが2相から1相になる温度圧力条件を調べることにより、巨大氷惑星の大気とマントルの境界がどのようになっているかの理解が進む。 また、固体H2Oの高温高圧下での電気伝導度を測る実験についても進めた。30 GPa付近までの実験が現在までに成功しており、H2Oの超イオン相の電気伝導度のデータについても取得が進んでいる。SPring-8のBL10XUで実験を行うことでX線回折測定も実施し、電気伝導度と結晶構造の情報を同時に得ることできている。ここから、超イオン相への相転移に伴う原子配列の変化と電気的特性の変化を対応付け、巨大氷惑星の内部構造や磁場の起源について研究を進めることが可能となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
巨大氷惑星の内部についての理解を深めるために進めている研究において、予備的な実験が進み、データが集まり始めている状況である。 天王星や海王星のエンベロープとマントルの境界がはっきりしているのか、あるいは不明瞭であるかを議論するために、H2とH2Oの液体不混和領域を調べる実験を行った。具体的にはSPring-8の高圧ガス充填装置を用いて、ダイヤモンドアンビルセルの試料室にH2とH2Oを封入し、加圧加熱できることを確認した。この際、高圧ガス充填の成功率を上げるため、またなるべく均一な加熱を実現するために、新たにレーザー外熱法という手法の開発をした。この手法は、レーザーを用いて直接試料を温めるのではなく、ダイヤモンドに挟まれたガスケットを温めることによって加熱するものであり、従来均一な加熱を求める場合に用いられた手法と比べて準備の煩雑さや配線を大幅に減らすことが可能となった。さらに、共著者としてこのレーザー外熱法についてまとめた論文が国際誌に受理された。 加えて、固体H2Oの高温高圧下での電気伝導度測定についても作業が進んでおり、比較的低圧な領域ではデータが取れている。開発は順調に進んでおり、今後はガスケットの改良によって、より高圧での測定もすでに目途が立っている。これによって、水の超イオン相の電気的性質を明らかにしていく予定である。 また、高圧下でのFe-Si-H三成分の相図についての実験結果と、それに基づいた地球をはじめとした惑星のコアについての議論を論文としてまとめ、国際誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度開発が完了したレーザー外熱法を用いて、H2とH2Oの液体不混和領域を調べるための実験を引き続き実施する。液体状態のH2とH2Oが2相から1相になる温度圧力条件を特定することによって、巨大氷惑星のエンベロープとマントルの境界がどのようになっているかについて強力な制約をつけることが目標である。 また、昨年度に引き続きH2Oの超イオン相の電気伝導度測定も進める。昨年度は、H2Oが高圧下でも比較的やわらかいために、ダイヤモンドアンビルセルの中で加圧中に試料室が大きく変形してしまい、試料室中の電極がショートしてしまうことが多く、高い圧力の実験の成功率が低いという問題が起きていた。今年度この問題は解決して高い圧力でのデータを取ることを目指している。すでにガスケットの改良によって試料室の変形を最小限にする方向性で検討を進めており、予備実験では期待できる結果を得られている。この改良によって、大学およびSPring-8のレーザー加熱光学系を用いて、50 GPa・2000 K付近でのH2Oの電気伝導度を測れるようにする予定である。 以上の結果を、今年度中に博士論文としてまとめ、国際誌に投稿をする予定である。
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