研究課題/領域番号 |
22KJ0625
|
補助金の研究課題番号 |
21J21363 (2021-2022)
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊東 健一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
|
キーワード | クロスモーダル効果 / バーチャルリアリティ / 風覚ディスプレイ / 触覚ディスプレイ / 触覚 / リラックス / クロスモーダル |
研究開始時の研究の概要 |
バーチャルリアリティ(VR)の分野で,人に風の刺激を提示する「風覚ディスプレイ」が提案されている.本研究は,複数の感覚の相互作用により知覚が変化するクロスモーダル効果を利用して,風覚ディスプレイによる風表現を拡張することを目的とする.具体的には,風向・風速・風温といった風の要素を,物理的刺激とは違うように知覚させる手法を解明する.これにより,物理的な送風装置や温冷風提示装置に簡易なものを用いていても,豊かな風体験をユーザに提供することを目指す.
|
研究実績の概要 |
本研究は,複数の感覚の相互作用により知覚が変化するクロスモーダル効果を利用して,風覚ディスプレイによる風表現を拡張することを目的とした. 本年度は,視覚・聴覚情報による風の知覚や印象へのクロスモーダル効果を,バーチャルリアリティ(VR)や模擬自然風といった感覚再現技術を用いて検証した.年度中に論文誌への発表(共著)1件,国際学会への発表1件,国内学会への発表1件を行った. VR分野の国際学会であるIEEE VR 2023にて発表した"Wind comfort and emotion can be changed by the cross-modal presentation of audio-visual stimuli of indoor and outdoor environments"では,自然風を模擬した気流を用いたリラクゼーションにおいて視聴覚刺激による影響が解明されていなかったため,屋内外のバーチャル空間を体験した際の風の印象や感情変化について実験により検証した.結果は,屋外の自然を再現したバーチャル空間では,屋内の部屋を再現したものと比較して風の快適で開放的な印象が増強されたほか,感情の快適度も向上するというものであった.本研究の成果は,風の刺激を用いたリラックスシステムにおいて,快適感・開放感を感じられる視聴覚刺激を設計することの重要性を示したものである.このほか,温度・振動の刺激と視聴覚刺激を組み合わせて風感覚を提示する手法,聴覚刺激が触覚の知覚を変化させるクロスモーダル効果において音像定位の可否が効果の強さに影響するかどうか検証した実験について論文誌・学会で発表した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,本年度の実施内容として多様な風温提示を行うための知覚操作手法を明らかにすることとしていた.ただし,風を含む触覚刺激によるリラックス効果やストレスの抑制に社会的注目が集まっていることから,本年度は新たに視聴覚情報による風の印象や感情の変化に関する検証に取り組み,視聴覚情報の有効性を示す結果を得た.従って,当初計画から方針を変更したものの,順調に研究が進展していると評価する.一方で,本年度で実施が完了していない風温の知覚操作に関しては次年度でも引き続き取り組む.
|
今後の研究の推進方策 |
現在までに実施が完了していない風温知覚の操作に関し,バーチャルリアリティを用いて提示する視覚・聴覚情報とのクロスモーダル効果に着目して検証実験を進める.また,本研究課題および博士課程の最終年度として,クロスモーダル効果を用いた風向・風速・風温の知覚,ならびに風に関する認知の変化を誘発させる手法について得られた知見をまとめる.
|