研究課題/領域番号 |
22KJ0647
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補助金の研究課題番号 |
21J21713 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 真史 (2022-2023) 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
杦山 真史 (2021) 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | キュバン / フッ素 / 電子受容分子 / 単結晶X線構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
多フッ素化キュバン及び全フッ素化キュバンの合成手法を元に閉じ込められた電子の性質を明らかにすることを目的とする。まず、全フッ素化キュバンのより効率的な合成を目指し反応剤の検討を行う。これまでに、全フッ素化キュバンを合成する際にフッ素化試薬由来の副反応が進行することを明らかにしているため、フッ素化剤の分子設計を工夫することで改善を目指す。また、2年目までに合成を完了した多フッ素化キュバンの塩素化体及び臭素化体の利用を目指し、更なる化学変換に挑戦する。
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研究実績の概要 |
本研究は三次元電子受容分子ぺルフルオロキュバンの合成とその物性調査を目的とし、フッ素ガスを用いた液相直接フッ素化法によって合成及び物性の探求を目的としている。本年度においては前年度までに完了したペルフルオロキュバンの合成及び、基礎物性である骨格内部への電子受容性に関し、さらにサポートするための補助的なデータ収集を行った。前年度の成果を含めた本研究成果はScience誌へと掲載された。 本年度後半には、主に全フッ素化キュバンの効率的合成法の開発・官能基化された多フッ素化キュバンの合成・電子豊富化学種との会合挙動の調査を行った。 全フッ素化キュバンを合成する最終段階において、フッ素化試薬との予期せぬ副反応が進行しておりこれが合成収率の低下を招いていることを明らかにした。この結果を踏まえ、現在フッ素化試薬のスクリーニングによって全フッ素化キュバンの合成収率向上を目指している。また、多フッ素化キュバンを他の機能性分子骨格に導入することを目的として多フッ素化キュバンと各種求電子剤との反応を検討し、塩素化体・臭素化体の合成に成功した。塩素・臭素はフッ素と同族のハロゲン元素であり、フッ素を塩素及び臭素で置換した際の物性変化に興味がもたれることに加え、炭素-塩素結合・炭素-臭素結合を足掛かりとした更なる分子変換にも期待がもたれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目までの研究において、本研究計画の中心的な目標である「三次元骨格に電子を受容する性質」の解明に成功し、研究成果として発表するに至っている。本研究成果の発表後、各国の研究機関から全フッ素化キュバンのサンプル提供依頼の連絡を受けており、今後国際共同研究を通じて本物質に関する化学は加速的に進展していくものと思われる。 2年目の研究成果は1年目と比較して全フッ素化キュバンの物性に関してさらなる知見を与えるものではなかったが、全フッ素化キュバン及びその類縁体について基礎的な物性及び反応性を着実に明らかにしており、(2)おおむね順調に発展している。と評価する。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中である国内外との共同研究を通じ、多フッ素化キュバンの基礎物性を明らかにするとともに更なるデバイス設計の可能性を模索してく。
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