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認知文法からみる日本手話の使役構文

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0652
補助金の研究課題番号 21J21787 (2021-2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2021-2022)
応募区分国内
審査区分 小区分02060:言語学関連
研究機関東京大学

研究代表者

松田 俊介  東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
研究課題ステータス 完了 (2023年度)
配分額 *注記
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
キーワード日本手話 / 使役 / 認知文法 / 使役構文 / 類像性
研究開始時の研究の概要

日本手話は日本のろう者コミュニティで話されている自然言語である。日本手話の話者数は医療技術の向上などで近年減少しており、早急な言語保存が俟たれる。言語保存は「形式保存」と「母語話者の意味理解の保存」をその両翼とするが、現状日本手話の意味論研究は不足している。
本研究は、「言語の本質とは意味を表現・伝達することである」とする認知文法に立脚し、日本手話の意味現象、とりわけ「使役」を記述することで意味論的保存に貢献することを目的とする。使役は、言語類型論の分野において最も研究されている現象の一つであり、日本手話の使役を記述することは言語学的に重要である。

研究実績の概要

本研究の目的は、①日本手話の使役構文を認知文法の観点から記述すること、②日本手話の言語保存をすることの2点である。①:本年度は、データはエリシテーション (日本手話話者5名に対面ないしはオンラインで調査を行った) と実例観察 (YouTubeなど) で収集した。このデータから次のことが明らかになった。すなわち、日本手話の使役表現 (とりわけ直接使役) を表す表現は、日本手話がメッセージの伝達に身体を用いていることに大きな影響を受けている、ということである。ある言語がメディアとしているものの性質がその言語に及ぼす影響のことは媒体効果 (modality effect) と呼ばれるが、日本手話の使役表現にはこの効果が如実に反映されている。日本手話における媒体効果のさらなる例を集めるため、本年度は使役表現のみならず身体分割 (body partitioning) も調査の対象とした。その成果を京都大学言語学研究に投稿した。②:日本手話研究 (ひいては手話研究一般) で用いられる日本手話の表記法である「ラベル」の問題点を指摘した。例えば、たとえ日本手話研究者であっても他者によって付されたラベルを見ただけではそれが表示している日本手話の語がわからないことがよくある、などの問題である。これらの問題は、人間の認知バイアスに由来しており、日本手話研究者が人である以上防ぐことは難しいと考えられる。そのため、報告者は『日本エドワード・サピア協会研究年報』にてラベルの使用中止を訴えた。本年度発表した論文 (博士学位申請論文も含む) はラベルを使わずに執筆されたものである。

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 日本手話研究で使用されるラベルが生む問題:意味、誤訳、語の同一性、疑似問題2023

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 雑誌名

      日本エドワード・サピア協会研究年報

      巻: 37 ページ: 97110-97110

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 身体分割と伏字:単一発話における複数の主体について2023

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 雑誌名

      京都大学言語学研究

      巻: 42 ページ: 122-122

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] <研究論文>日本手話における「変化で属性を表す」メトニミー2022

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 雑誌名

      京都大学言語学研究

      巻: 41 ページ: 1-17

    • DOI

      10.14989/281539

    • ISSN
      1349-7804
    • 年月日
      2022-12-31
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Labels Should not be Used in Japanese Sign Language Studies2022

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 雑誌名

      東京大学言語学論集 = Tokyo University linguistic papers (TULIP)

      巻: 44 号: TULIP ページ: 193-209

    • DOI

      10.15083/0002005831

    • URL

      https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2005831

    • 年月日
      2022-10-31
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 言語の身体的基盤:認知言語学の観点から2022

    • 著者名/発表者名
      西村義樹・田中太一・松田俊介
    • 雑誌名

      体育の科学

      巻: 72 ページ: 11-15

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 身体を使って話すとは:認知文法と手話言語学の架橋2021

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 雑誌名

      日本エドワード・サピア協会研究年報

      巻: 35 ページ: 43-54

    • NAID

      40022707689

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 『言語』を読んで考える日本手話研究2021

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 雑誌名

      日本エドワード・サピア協会研究年報

      巻: 35 ページ: 55-57

    • NAID

      40022707506

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 鈴木孝夫の人称論と向き合う2023

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 学会等名
      日本エドワード・サピア協会 第38回研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] グロス実践における問題点とその背景にある言語観2022

    • 著者名/発表者名
      浅岡健志朗, 石塚政行, 松田俊介
    • 学会等名
      日本言語学会第165回大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 表示は何を表示するか:グロス・ラベル・図2022

    • 著者名/発表者名
      松田俊介, 田中太一
    • 学会等名
      日本言語学会第165回大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ブロックの比喩の功罪と動的言語観2022

    • 著者名/発表者名
      田中太一, 浅岡健志朗, 石塚政行, 松田俊介
    • 学会等名
      日本言語学会第165回大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] ギャップを埋めるデフォルト表現2021

    • 著者名/発表者名
      松田俊介
    • 学会等名
      日本言語学会第162回大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2021-05-27   更新日: 2024-12-25  

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