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マイクログリアによるネットワーク形成機構とその意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ0668
補助金の研究課題番号 21J22213 (2021-2022)
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分基金 (2023)
補助金 (2021-2022)
応募区分国内
審査区分 小区分46010:神経科学一般関連
研究機関東京大学

研究代表者

大柿 安里  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-06-29 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワードマイクログリア / 非生物由来物質 / アストロサイト / 血管 / 脳内免疫 / 細胞間相互作用 / 細胞外小胞 / オリゴデンドロサイト / micro RNA / 細胞間ネットワーク
研究開始時の研究の概要

本研究では、マイクログリアの情報伝達機構の形成メカニズムと機能的意義の解明を目指している。本研究では、マイクログリアの情報伝達を誘導・実現するものとしてそれぞれ、マイクログリアに取り込まれる、あるいはマイクログリアから放出される細胞外小胞に着目する。特に、マイクログリアを情報伝達可能な状態への変遷を誘導するものとして、マイクログリアに取り込まれやすいと考えられるオリゴデンドロサイトの細胞外小胞に着目した。本研究では、オリゴデンドロサイト細胞外小胞の送達先の特異性や、マイクログリアの状態変化への影響の検証を行う。

研究実績の概要

昨年度に引き続き「非生物由来物質に対する脳内免疫機構」に計画を変更し、研究を行った。脳内恒常性を維持するためには、脳内に存在する余分な生物由来物質がマイクログリアによって貪食・除去されることが知られている。一方で、非生物由来物質の一つである大気汚染物PM2.5が脳内に侵入することが近年報告されているが、非生物由来物質の脳内処理機構はほとんど解明されていない。そこで本研究では、非生物由来物質の主要な侵入経路と考えられる血管に着目し、血管を介して脳内に侵入した非生物由来物質の脳内処理機構を解明した。その結果、非生物由来物質は生物由来物質と同様に主にマイクログリアに取り込まれることを初めて明らかにした。非生物由来物質を直接認識する機構はマイクログリアには存在しないと考えられるため、この貪食機構をさらに検討した。マイクログリアによる貪食過程において、非生物由来物質に補体分子が結合し、タグ付けされることでマイクログリア上の補体受容体を介して認識・貪食されることを発見した。さらに、マイクログリアによる非生物由来物質の貪食は、血管周囲細胞(血管内皮細胞やアストロサイト)と協調的に働くことで実現されることを示した。具体的には、非生物由来物質によって活性化した血管内皮細胞から分泌されるケモカインに対して、血管周囲アストロサイトに発現するケモカイン受容体が活性化し、アストロサイトから補体の分泌が促進した結果、非生物由来物質に補体が結合することを明らかにした。また、脳内に侵入した非生物由来物質には神経毒性があるため、このマイクログリアによる貪食は非生物由来物質から脳を保護するための神経保護機構であることを明らかにした。これらの研究結果をまとめ、論文投稿を行った。本研究は、マイクログリア間での情報伝達ではないものの、マイクログリアとほかの血管周囲細胞を介した情報伝達機構の一形式であると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で初めて明らかにしたことは以下の3点である。①非生物由来物質をマイクログリアが優先的に貪食する。②マイクログリアの貪食には補体系が関与する。③これらの貪食に血管周囲細胞が協調的に関与する。本研究はこれまで全く明らかでなかった非生物由来物質に対する脳内免疫機構を明らかにしたという点で意義深いと考えている。当該期間において、上述のデータをまとめ、論文投稿することができた点で、おおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

今後は、投稿論文に対するコメントをもとに、求められた実験を追加し、改訂を行う予定である。特に、非生物由来物質の曝露方法について、本研究は実際の曝露経路とは異なるため、その点についてのコメントが予想される。そのため、実際の吸入曝露系でも同様の減少が生じるかどうかを検証するための実験系を検討する。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Replacement of Mouse Microglia With Human Induced Pluripotent Stem Cell (hiPSC)-Derived Microglia in Mouse Organotypic Slice Cultures2022

    • 著者名/発表者名
      Ogaki Ari、Ikegaya Yuji、Koyama Ryuta
    • 雑誌名

      Frontiers in Cellular Neuroscience

      巻: 16 ページ: 918442-918442

    • DOI

      10.3389/fncel.2022.918442

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Extracellular Vesicles Taken up by Astrocytes2021

    • 著者名/発表者名
      Ogaki Ari、Ikegaya Yuji、Koyama Ryuta
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 号: 19 ページ: 10553-10553

    • DOI

      10.3390/ijms221910553

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 生体外微小物質に対する脳内免疫機構2022

    • 著者名/発表者名
      大柿安里、池谷裕二、小山隆太
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 生体外物質に対する脳内免疫機構の解明2022

    • 著者名/発表者名
      大柿安里、池谷裕二、小山隆太
    • 学会等名
      第4回グリアデコード領域会議
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2021-05-27   更新日: 2024-12-25  

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