研究課題/領域番号 |
22KJ0669
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補助金の研究課題番号 |
21J22225 (2021-2022)
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 基金 (2023) 補助金 (2021-2022) |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木下 蒼一朗 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2023年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | ロシア語 / 意図 / 規約 / 否定生格 / 存在文 / ポリフォニー / 間接話法 / 合意 / フィクション / コミュニケーション / 推意 / 共通基盤 / ふり / 視点 / 嘘 / アイロニー / 存在前提 / 約束 / 言語行為 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、(1)アイロニーを筆頭とする「言外の意味」の分析を通じて「コミュニケーションの基礎を説明する理論」を構築し、(2)そこからの帰結として自然言語の様々な文法現象に対する新たな観点からの説明を与えることを目的としている。現代言語学においてはしばしば、「言語それ自体」が有する文法の問題と、言語を用いて行われるコミュニケーションの問題は全く別の領域であるものと見なされてきたが、本研究はコミュニケーション上の要請がむしろ言語体系の構造を説明するという見地から統一的な説明を与えることで、現代言語学において未だ根深く信じられている上のような見方が基礎を欠いているということを示そうとするものである。
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研究実績の概要 |
2022年度実績報告書執筆時の段階ですでに2つの応用的領域へと枝葉を伸ばしていた本研究は、同年度報告書「今後の研究の推進方策」に則り、これら2つの領域から得られた成果を1つの言語観として統合せんとする方向へと舵を切った。 (1)言語のポリフォニックな側面を理論的に基礎づけた。報告者は、しばしば私たちの心の状態として理解される「意図」が、事実として共同体における「合意」に基づいた共同的作成を経たのち各個人に帰属されるものであるということを指摘した。この指摘が正しければ、意図は「個人的な心の状態」では最早あり得ず、その瞬間の当の共同体において有効な規約として理解されるべきである。 (2)上の見解に基づき、現代ロシア語の非標準的な格付与に関する学説を提出した。ロシア語の否定文においては「自動詞の主語」「他動詞の直接目的語」が生格に置かれることがある。この現象は「否定生格」と呼ばれ、この特殊な格は「話し手が否定生格に置かれた名詞句の表示対象の不在を信じている」という言外の意味を伝達する。ここで仮に、否定生格名詞句の表示対象の不在を信じるのが通説通りに話し手であるとすれば、間接引用節に登場する否定生格名詞句の表示対象の不在を信じるのもまた、オリジナルの発言の主ではなく引用者(話し手)であるという予測が立つ。しかし実際には、間接話法の補文節に登場する否定生格名詞句の表示対象の不在を信じている主体として伝達されるのは、引用元の発言の主である。この言語事実は、通説において対象の不在を信じている「話し手」が実は「否定生格が登場する節の内容に責任を負う主体」として精緻化されるべきであるということを意味する。この結論と(1)の観点とを合わせることで、本研究はこれまで形態統語論上の問題とされてきた格付与の文法が、実は補文節の内容に責任を負う主体の態度に呼応して駆動しているということを示唆するに至った。
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